「自分で測り自分で創る健康社会」の基盤構築を目指す
東北大学は5月23日、東北メディカル・メガバンク機構とオムロン ヘルスケア株式会社が、日常生活のモニタリングで得られた検査値と高血圧などの疾病の関連を明らかにするための、共同研究を実施する契約を5月15日に締結、共同研究を開始したことを発表した。
画像はリリースより
今回の研究には、東北メディカル・メガバンク計画の一環としてコホート調査の参加者5,000人が参加予定。オムロンの尿ナトカリ計、活動量計、睡眠計を配布し、尿中のナトリウムとカリウムのバランス(塩分と野菜や果物の摂取バランス)・身体活動量・睡眠状態を10日間にわたって自ら測定してもらい、そのデータと家庭血圧等の測定値との関連を検討し、さらに遺伝情報や生活習慣情報など種々の要因を考慮に入れた総合的な解析を行うことで「自分で測り自分で創る健康社会」の基盤構築を目指すという。
「塩分感受性の有無」の確認と「測定の困難さ」の解決に期待
日本人の要介護認定の原因疾患の第1位は脳血管疾患だが、その原因のひとつは高血圧である。高血圧の原因として高塩分食が挙げられているが、ナトリウム量の減少に反応して血圧が低下する者とそうでない者がいること、簡便な塩分摂取量の評価法がなかったことから、減塩指導はなかなか成果をあげにくくなっていた。
今回の共同研究では、東北メディカル・メガバンク機構が対象者の同意のもと、対象者全員の遺伝情報を解析することで、対象者の塩分感受性を明らかにすることが可能。また、対象者が尿ナトカリ計を用いて簡便かつ長期に随時尿を測定することで、塩分摂取量と同様な食事習慣指標であるナトカリ比を推定することが可能となる。これにより、塩分感受性の有無の確認と測定の困難さが解決されることが期待できる。さらに、同様に精度の高い身体活動量計、睡眠計を組み合わせることで、絶対評価された生活習慣と体質が血圧等にどう関連するかを明らかにするとしている。
今回使用される尿ナトカリ計は、オムロン ヘルスケア社も参画している東北大学を中心としたセンター・オブ・イノベーションプログラム東北拠点において、一般住民を対象としたフィージビリティ研究が既に行われ、有用性等が示されているという。今回の共同研究を通じて、高精度な生活習慣情報を得ることで、個人の体質に合わせた適切な予防法・治療法の開発に貢献できると期待される。またデータは、東北メディカル・メガバンク機構のバイオバンクに格納される。その整理が完了すれば、全国の研究者に分譲され、個別化予防・治療の研究に活用してもらう予定としている。
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・東北大学 プレスリリース