社会保障審議会医療保険部会は17日、経済・財政再生計画の改革工程表に示された先発品価格の負担のあり方について議論した。厚生労働省は、先発品と後発品の差額を患者負担とする“参照価格制度”を念頭に置いた考え方、長期収載品の薬価を後発品まで引き下げる考え方の二つの案を提示したが、委員からは患者負担増や企業に大きな影響を与えることへの懸念から、慎重な意見が相次いだ。
先発品価格のうち、後発品の保険給付額を超える部分の負担のあり方については、過去にも議論が行われてきたが、いずれも反対論や慎重な意見によって実現していない。この日の部会では、まず先発品の使用を「選定療養」と位置づけ、後発品薬価を超える部分は患者から徴収する考え方が示されたが、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、後発品の使用促進に努力している中で「水を差す話」と指摘。仮に参照価格制度を導入した場合、より高い水準の流通が求められ、コスト増につながると指摘。選定療養にもなじまないとし、「いまは数量シェア80%実現に努力していくことが重要。極めて慎重に議論すべき」との姿勢を表明した。
渡邊廣吉委員(全国町村会副会長)も、自治体として差額通知などに取り組んできたことを紹介。「どちらの考え方も患者に大きな影響を与えると懸念している。まず様々な後発品使用促進策を国を挙げて進め、使用割合を増やしていくことが大事」と述べた。
白川修二委員(健康保険組合連合会副会長)は、参照価格制度について「いかがなものか」と疑問を投げかけ、財政効果もあまりないとし、「後発品の使用促進によって一定の効果が出てきており、政府目標に近づきつつある段階で、患者負担を求めるのは国民の理解が得られない」と慎重姿勢を示した。
松原謙二委員(日本医師会副会長)も「後発品との差額を患者に求めるとんでもない案がまた出てきた」と不快感を示し、「患者が希望するから差額を支払ってもらうというのは、本来の保険のあり方ではない」と批判した。他の委員からも「もう少し時間をかけて議論を」「患者負担は賛成しがたい」「今回の二つの考え方は、あまりにも乱暴ではないか」などと反対論が大勢を占めたが、「検討することは必要」「一部負担を求めるのはやむを得ない」との意見もあった。