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バイオシミラー使用促進、「産官学の協力」を-企業の9割が行政支援期待

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2017年05月19日 AM10:30


■厚労科研の概要報告

武蔵野大学薬学部の豊島聰客員教授は16日、都内で開かれたバイオシミラー(BS)協議会のフォーラムで、今月末にまとめる厚生労働科学特別研究事業「バイオシミラー使用促進のための課題解決に向けた調査研究」の概要を紹介した。製薬企業を対象に行った調査結果から、多くの企業がBS参入の最大の障壁を「製造技術基盤の有無」だと考えており、厚生労働省や経済産業省などの行政からの支援を期待していることを明らかにした上で、BSの開発・使用促進には「産官学の協力」が必要との考えを示した。また、BSを開発する際、海外に製造を委託するとコスト高になるため、国内の委託製造業者(CMO)を充実させるなど、国内のインフラ整備や人材育成を進める必要性も強調した。

写真:豊島氏

調査研究は、各国のBSに関する政策や規制、国内の開発の現状などを調べると共に、製薬企業、医師・薬剤師、一般国民を対象に行ったアンケート調査を通して、BSの開発・使用促進、関係者の理解増進と啓発を進める上での課題を把握。BSを含めたバイオ医薬品全般の開発促進に資する政策提言を行うことを目的としている。

製薬企業への調査結果では、内資・外資とも事業規模が1000億円以上の企業では、開発経験があり、ある程度自社での製造体制を有しているものの、事業規模が1000億円未満の内資系企業では、CMO依存率が高いとの結果を示した。

また、事業規模にかかわらず、体制整備が十分でないと考える企業が7割近くを占め、行政からの支援を期待している企業は9割に及んだ。

高額療養費などの医療費助成制度によって、BS使用のインセンティブが働きにくくなっていることや、国内のガイドラインで、先行バイオ医薬品とバイオ後続品を一連の治療期間内に代替・混用することは基本的に避けるよう求めており、「現場で解釈に苦慮している」といった課題も示された。

豊島氏は、BSの開発促進の対応策として、審査体制(BS開発・承認申請を効率的に進めるための指針・ガイドラインの整備)、バイオ医薬品承認申請書記載要件の整備、委託可能な国内CMOの整備などを挙げた。

調査では、多くの企業がBSの開発・使用促進に「行政からの支援が必要」と答えたのにもかかわらず、「産官学の協力」が必要と結論づけた。その理由について豊島氏は、「行政による支援だけでは不十分。課題解決には産官学が一体となって取り組みを進める必要がある」と説明した。

また、医師と薬剤師を対象に行ったアンケート調査では、9割近くがBSを積極的に採用したいと考えていることが分かった。その理由として、多くの医師が「患者の負担軽減」「医療費削減」を挙げ、病院薬剤師は「経営的メリット」を挙げた。

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