厚生労働省は12日、「重篤副作用総合対策検討会」に「重篤副作用疾患別対応マニュアル」の見直し作業案を示し、了承された。マニュアルは、薬剤師などの医療者や患者が初期の副作用を早期に発見し、対応できるようにするためのもの。見直し案では専門学会の意見を踏まえ、マニュアルの改訂と新規にマニュアル作成が必要な疾患を明示。見直し作業に着手する優先度を示した。
重篤副作用疾患別対応マニュアルをめぐっては、記載内容が古くなったことや一層の活用を促すため、昨年度から5年間にわたって改訂作業を行い、マニュアルを更新することとなっていた。
今年度に改訂に着手するのは、手足症候群や間質性腎炎など12の副作用疾患で、免疫チェックポイント阻害剤による重篤副作用や多形紅斑型薬疹など2疾患を新規作成の対象とした。
来年度に改訂に着手する副作用疾患は、薬物性肝障害や薬剤性パーキンソニズムなど22疾患で、網膜・視路障害やリチウム中毒など6疾患を新たに作成する。
また、2019年度は肺水腫など15疾患を改訂することとした。
昨年10月の検討会では、関連学会の意見を考慮した上で、マニュアルの見直しを進める方針を示していた。これを受け、厚労省は各学会から意見を聞き、改訂や新規作成が必要とされる疾患を絞り込んだ。
その上で、マニュアル作成以降に学会のガイダンスやガイドラインが改訂され、それらと整合性を図る必要がある疾患や、疾患概念が変わったため、現在のものと整合性を図る必要がある疾患から優先的に見直すこととした。
この日の検討会では、マニュアルに具体的な症状を記載した上で、「こういう症状が出た場合は薬剤師や医師に相談してほしい」と呼びかけるなど、「従来のマニュアルよりも患者の目線に立った記載があってもいいのでは」との意見や、「個別の疾患だけでなく、全疾患領域をカバーする総論を記したマニュアルが必要」といった意見も出た。