ノロウイルスなどによるウイルス性腸管下痢症にも対象に
東京大学医科学研究所とアステラス製薬株式会社は5月11日、コメ型経口ワクチン「MucoRice」(ムコライス)を活用した共同研究について、対象範囲をウイルス性腸管下痢症にも拡大する契約を締結したと発表した。
ウイルス性腸管下痢症は、コレラ菌などの細菌が原因となる下痢症ではなく、ロタウイルスやノロウイルスが引き起こす下痢症。ノロウイルスは、感染性胃腸炎や食中毒を引き起こすウイルスのひとつで、口から入ったウイルスが腸管内で増えて、吐き気、おう吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こす。健常人では症状が軽いことが多いが、体力の弱い乳幼児や高齢者などでは、重症化したり、時に、吐物を喉に詰まらせて死に至る場合もある。
遺伝子組み換えにより抗原タンパクを発現
ムコライスは、遺伝子組み換え技術を用い、コメの内在性貯蔵タンパク質の代わりに抗原となるタンパク質を発現させたコメ型経口ワクチン。東京大学医科学研究所国際粘膜ワクチン開発研究センターの清野宏教授、幸義和特任研究員らが開発した。腸管粘膜を介して免疫細胞を効率よく活性化し、防御免疫を誘導するという。
医科学研究所とアステラス製薬は、2016年よりムコライスを活用したコレラ、毒素原性大腸菌を対象としたワクチンの共同研究に取り組んできていた。そして今回、共同研究対象の範囲をアンメットメディカルニーズの高いウイルス性腸管下痢症にも広げることになったとしている。
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・東京大学医科学研究所 プレスリリース