厚生労働省は4日、米国保健福祉省と保健医療分野において協力する覚書を締結した。医薬品および医療機器の規制や研究開発、薬剤耐性(AMR)をはじめとした公衆衛生上の緊急事態への対応など、両国が優先して取り組むべき課題11項目を挙げ、各項目で連携を強化することを確認した。同分野で覚書を結ぶのは、先進7カ国では米国が初めてとなる。
覚書では、両国が優先して対応すべき課題として、医薬品・医療機器の規制や研究開発、感染症を含む公衆衛生上の緊急事態など11項目をリストアップ。保健医療分野における覚書の締結は、先進7カ国では米国が初めてで、厚労省は「医療分野の研究が高度化し、1カ国で対応することが難しくなっているため、高い研究水準を持つ米国と協力する」とした。
医薬品および医療機器の規制については、既に医薬品医療機器総合機構(PMDA)と米国食品医薬品局(FDA)の間で承認審査や安全対策、GMP査察結果に関する情報交換、共同研究などを行っているが、これらの取り組みを継続した上で、発展させることを確認した。
また、医薬品、医療機器および先端的医療技術の研究開発に関しては、日本医療研究開発機構(AMED)と米国国立衛生研究所(NIH)の間で難病や未診断疾患をターゲットにした研究、セミナーやシンポジウムを共同開催しており、これらも規制の項目と同様に、継続・発展させる。
AMRなど、公衆衛生上の脅威に協力し対応することも盛り込んだ。国境を越えて広がる感染症に対抗するため、各国の共通目標を定めた「グローバルヘルスセキュリティアジェンダ」について、提唱国の米国と先進的な取り組みを行っている日本がリーダーシップを発揮することとした。
このほかの優先課題としては、▽グローバルな保健体制の強化▽食品安全上の概念▽人材育成▽医療サービスおよび財政▽グローバルな保健政策の策定▽若年死の減少を目標とする、癌を含む非感染性疾患(NCD)の負担増大への対応▽感染症の予防とコントロール▽育児や高齢者の家族の介護に当たる労働者などの介護人の支援に関する経験および情報の交換/政策の策定を含む高齢化対策――などが挙がっている。