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オプジーボ、プラチナ製剤抵抗性の頭頸部扁平上皮がんの新治療オプションとして期待

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2017年05月09日 PM04:00

オプジーボの有効性は、複合的バイオマーカーの確立がカギ

国立がん研究センター東病院頭頸部内科の田原信科長が、小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズスクイブ社共催のプレスセミナーで講演。頭頸部がんの適応追加を受けたオプジーボ(一般名:ニボルマブ)について、プラチナ製剤抵抗性の頭頸部扁平上皮がんに対する新たな標準治療オプションになりうるとの見解を表明した。有効性に関するバイオマーカーに関しては「現在のPD-L1検査は同一検体内でもPD-L1の不均一性が指摘されている」と述べ、複合的バイオマーカーの確立が大きなカギになるとの認識を強調した。


国立がん研究センター東病院頭頸部内科
田原信科長

現在、国内の甲状腺がんを除く頭頸部がん患者数は年間約4万7,000人と推計されているが、初診時に半数以上がステージIII以上の局所進行がんとして発見される。この場合の5年生存率は最も高い上咽頭がんでも6割強と予後が悪いのが実態。上咽頭がんを除くステージIII以上の頭頸部がん治療では、根治を目指して切除が行われることが多いものの、切除による失声、嗅覚・味覚障害に加え、容貌が大きく変化することもあり、この点に対する患者の価値観などが治療方針に大きく影響する。

その一方で切除以外では長い間、プラチナ製剤であるシスプラチンと放射線療法を併用する化学放射線療法が中心となっており、田原氏は「化学放射線療法では再発がない場合でも、晩期毒性で約10%の患者さんが死亡する」との問題点も指摘。最近では分子標的治療薬のアービタックス(一般名:)と放射線療法との併用の有効性を示す報告もあるものの、化学放射線療法を超えるだけのエビデンスは乏しく、さらに化学放射線治療にアービタックスを併用した研究では「無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)を延長する効果が全くなかった」(田原氏)とした。

さらに再発・転移時の治療では救済手術後の再発率も高く、化学療法やそれにアービタックスとの併用療法でもOSは最大10か月程度で「とても満足のできる治療法とは言えなかった」と述べた。

1年生存率で2倍の差、オプジーボ群と治験医師選択治療群

そのうえで田原氏は、再発・転移頭頸部扁平上皮がんについて今回新たに適応を追加したオプジーボと治験医師選択治療群(セツキシマブ・メトトレキサート・ドセタキセルのいずれか1剤)を比較したCheckMate141試験について紹介。「OSでは、オプジーボ群が7.49か月、治験医師選択治療群が5.06か月で有意差が認められた。しかし、注目すべきは1年生存率でオプジーボ群の36.0%に対し、治験医師選択治療群は16.6%と2倍の差がついたこと」と述べた。さらに「オプジーボ群の奏効率は13.3%に過ぎないが、効果のある症例では持続期間が長い」との評価を示した。

また、現在有効性予測因子のひとつになりうると考えられているPD-L1の発現率1%をカットオフとした同試験でのOS解析データから田原氏は「PD-L1発現1%以上の症例内での比較ではオプジーボ群は投与開始3か月目くらいから差が開き始めている(ハザード比0.5)が、1%未満の場合でも1割程度では奏効している」とし、PD-L1のみでは有効性予測は不十分との認識を強調。別指標として、腫瘍浸潤T細胞や免疫抑制性分子が高発現し、炎症性シグネチャーが高いというがん微小環境での免疫状況では、免疫チェックポイント阻害薬の有効性が高い可能性が報告されていることを紹介。また、PD-L1発現状況や遺伝子変異量を組み合わせた有効性予測が有望になるとの見通しを語った。

田原氏は、現在国内における頭頸部がん薬物療法の問題点にも言及。頭頸部がんを専門とする腫瘍内科医が少ないうえに、現在頭頸部がんの薬物療法を現場で行っている耳鼻咽喉科医、口腔外科医と腫瘍内科医との連携が不十分であることを指摘した。オプジーボの頭頸部がんに対する適応追加時に厚生労働省が公表した最適使用推進ガイドラインでは治療責任者要件で医師だけでなく歯科医師も規定されたことから、日本臨床腫瘍学会では歯科医との連携について会員に協力を要請。さらに日本臨床腫瘍学会、日本頭頸部外科学会、日本口腔外科学会などの関係学会と共同で「頭頸部がん薬物療法診療連携プログラム」の構築に取り組んでいるとし、田原氏は「7月以降にはプログラム構築できる見込み」との現状を明かにした。

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