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摂食行動やエネルギー代謝調節に関わる新たな脳内因子を発見-広島大

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2017年05月08日 PM02:45

80アミノ酸残基からなる小タンパク質「

広島大学は4月28日、哺乳類のモデル動物であるマウスの脳から、食欲調節やエネルギー代謝調節に関わる脳内因子を世界で初めて発見したと発表した。この脳内因子は80アミノ酸残基からなる小タンパク質であり、他の既知因子とは全く構造が異なる新しい伝達物質。同研究グループはその脳内因子をNeurosecretory protein GL(NPGL)と命名した。この研究は、同大大学院総合科学研究科の浮穴和義教授の研究グループと、カリフォルニア大学バークレー校との共同研究によるもの。研究成果は「Endocrinology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

現代社会では、ストレスによる暴飲暴食や運動不足によって引き起こされるメタボリックシンドロームの発症が問題となっている。摂食行動やエネルギー代謝調節に関わる中枢は、脳内の視床下部領域に存在し、神経細胞から作られるさまざまな伝達物質の存在や末梢からのシグナルを受け取る細胞の機能が多くの研究者によって調べられてきたが、摂食行動の調節メカニズムは複雑で、不明な事柄が多く残されている。

食欲やエネルギー代謝の複雑な調節メカニズムの解明に期待

研究グループは、マウスの脳内におけるNPGLの産生細胞と神経線維の分布を形態学的手法で解析した。その結果、視床下部内に発現しており、その中でも視床下部弓状核後外側部にのみ産生細胞が存在していることを発見。その神経線維の投射部位(標的部位)は視床下部領域内に認められたが、特に摂食行動に関与する弓状核の前部に観察されたという。

そこで、既知の摂食調節因子の産生細胞との関係を解析したところ、NPGL神経細胞の標的が強力な摂食抑制因子であるα-メラノサイト刺激ホルモン(α-MSH)産生細胞であることを見出した。また、体内の栄養状態を変化させる目的で、空腹や高脂肪食負荷の状態に伴うNPGL発現変動を観察した結果、摂食促進効果を有する可能性が示唆された。NPGLをマウスの脳内に投与したところ、実際に摂食量を増加させたという。

以上の結果から、NPGLは、α-MSH産生細胞の活性を抑制することで摂食行動を亢進する可能性が考えられ、NPGLが新しい摂食調節因子であることが明らかとなった。過食やその結果生じる肥満は、メタボリックシンドロームの発症に結びつくことから、これらの研究成果は、ヒトの肥満防止やメタボリックシンドローム予防のための基礎研究に役立つと考えている、と研究グループは述べている。

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