5年生存率10%を下回る再発または難治性のALL
ファイザー株式会社は4月27日、「再発又は難治性の前駆B細胞性、急性リンパ性白血病(ALL)」の効能・効果で、抗悪性腫瘍剤/抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体「イノツズマブ オゾガマイシン(遺伝子組換え)」(開発番号:PF-05208773/CMC-544)の国内における製造販売承認を申請したと発表した。
ALLは、成人の悪性白血病の1種で、予後不良な疾患。日本におけるALLの患者数は、2005年に約3,000例、2008年に約4,000例、2011年に約5,000例、2014年に約5,000例と報告されており、近年増加傾向にある。現在の標準治療は、強力かつ長期的な化学療法。ALLと新たに診断された成人患者のおよそ20~40%は、現在の治療レジメンによって治癒するが、再発または難治性の成人ALL患者の5年生存率は10%以下とされている。
イノツズマブ オゾガマイシンは、開発中の抗体-薬物複合体(ADC)で、ほぼすべてのB細胞性ALLのがん細胞に発現する細胞表面抗原であるCD22を標的とするモノクローナル抗体(mAb)および細胞傷害性化合物で構成されている。同剤がB細胞性悪性腫瘍のCD22抗原と結合すると、細胞内に取り込まれ、細胞障害性を有するカリケアマイシンが放出されて細胞を破壊するという。
日本も参加した国際共同P3試験などの結果から申請
今回の申請は、日本も参加した国際共同第3相「INO-VATE1022試験」、および外国第1/2相試験で、同剤のALLに対する臨床的に意義のある有効性と安全性が認められた結果を取りまとめて行われた。同試験は、再発または難治性の前駆B細胞性ALLの成人患者326名が登録されたもの。同剤群と標準化学療法群の比較が行われ、血液学的完全寛解率、無増悪生存期間(PFS)等の評価項目で、同剤群が標準化学療法群を上回ることが明らかになったという。
同剤はすでに、米国で2013年3月、欧州で同年6月に、B細胞性ALLに対する希少疾病用医薬品の指定を受けている。米国では2015年10月にブレークスルー・セラピー(画期的治療薬)指定を受けた。2017年2月、ファイザー社は、米国食品医薬品局(FDA)が成人の再発または難治性の前駆B細胞性ALL治療薬として承認申請を受理し、優先審査品目に指定したことを発表している。「処方せん薬ユーザーフィー法」(PDUFA)に基づいたFDA承認の目標は2017年8月。欧州でも、現在、上記適応症を予定として承認審査中で、2017年4月、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)から肯定的見解を得ているという。
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・ファイザー株式会社 プレスリリース