日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)は、2020年度にジェネリック医薬品(GE薬)の数量シェア80%といった目標が示される中、80%達成後にGE薬産業の果たすべき役割を明示した「ジェネリック医薬品産業ビジョン―日本の保健医療とグローバルヘルスを担う自覚と責任」を発表した。国内のGE薬市場をめぐっては、医療用医薬品全体の数量シェア80%達成後に安定期に入ることが見込まれており、各GE薬メーカーが何をすべきか、将来に向けたビジョンを業界として方向付けするのが最適と判断。安定供給や品質、情報提供を推進しながら、海外展開やバイオ後続品への挑戦、さらには予防医学やグローバルヘルスという新規分野もカバーしていく将来像を示した。
GE薬協では、将来のGE薬を取り巻く事業環境について、▽患者目線での医療が加速▽安価なGE薬の使用が普及▽医療のICTインフラが構築▽医薬品産業のビジネスモデルがボーダーレス化▽少子高齢化の進展で社会保障制度の見直し――といった変化が起こると予測。これをもとに「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を策定した。
ビジョン1の「期待される産業像の実現」では、海外展開やバイオ後続品への挑戦、卸売業と連携した新たな流通体制、在宅医療・地域包括ケアシステム対応など、GE薬メーカーに今求められている事業的課題を挙げた。ビジョン2の「安心・信頼の追求」では、以前から取り組んできた安定供給や品質管理、安全性、情報発信という課題を改めて明示。ビジョン3の「未来への挑戦」では、医療関連団体と連携し、グローバルヘルスや予防医学、データヘルスといった新規分野にも参入していく方向性も示した。
これら三つのテーマを“三位一体”でバランス良く進める戦略により、日本の保健医療とグローバルヘルスを担えるとした。
日本製薬工業協会では、25年の製薬産業のあるべき姿として「産業ビジョン2025」を策定したが、ジェネリック医薬品産業ビジョンでは数量シェア80%達成の時期が不確実な部分があることから、その時期を明確にしていない。80%達成の時期が見えた段階でより具体化する構想だ。