単回経口での服用でインフルエンザの治療完結が期待される新規化合物
塩野義製薬株式会社は4月25日、同社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤「S-033188」の臨床試験結果と非臨床試験結果をオーストリア・ウィーンで開催された第27回欧州臨床微生物学感染症学会議(ECCMID)で発表したことを公表した。
S-033188は、既存のノイラミニダーゼ阻害剤とは異なるメカニズムでインフルエンザウイルスの増殖を抑制し、単回経口での服用でインフルエンザウイルス感染症の治療完結が期待される新規化合物。
プラセボ対照国内第2相臨床試験において、S-033188(10mg、20mg、40mg単回、経口)の投与により、血漿中活性体濃度は用量依存的に上昇し、ウイルス力価は低下。それに伴いインフルエンザ症状消失期間が短縮した。マウスを用いた薬物動態/薬力学(PK/PD)解析に基づくとオセルタミビルの臨床相当量と比較して、10倍以上のウイルス力価の低下が期待できる血漿中活性体濃度は6.85ng/mlで、S-033188の15mg/kg1日2回投与に相当したという。
2つのグルーバルP3試験を実施中、2017年度内の申請目指す
S-033188とその活性体であるS-033447は、臨床相当量以下(1回あたり5mg/kg、1日2回投与)で、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)に対し試験管内およびマウスモデルにおいてオセルタミビルと比較して、より強力な活性を保持。S-033188は臨床相当量以下(1回あたり5mg/kg、1日2回投与)で、B型インフルエンザウイルス感染マウスに対し、オセルタミビルの臨床相当量と比較して有意に優れた有効性を示した。
S-033188は現在、リスク要因を持たない健常のインフルエンザ患者を対象としたOtherwise Healthy(OwH)試験と、重症化、合併症を起こしやすいリスク因子を持つハイリスク患者を対象としたHigh risk(HR)試験の2つのグローバル第3相臨床試験を実施中。OwH試験における患者への投薬は既に完了しており、日本においては2017年度内の申請を目指している。
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・塩野義製薬株式会社 プレスリリース