今回の先駆け指定は、昨年10~11月に募集し、申請のあった47品目を厚労省が評価した結果、医薬品5品目を指定したもの。制度の対象は、生命に重大な影響があり、根治療法がなく症状が継続しているなど、一刻も早い実用化が求められる疾患領域の医薬品であること、既承認薬と異なる新規作用機序であることなど、一定の要件を満たす必要がある。今回、指定された品目は次の通り。
▽オリプダーゼアルファ(遺伝子組み換え)(サノフィ):予定される効能・効果は、指定難病であるライソゾーム病の一種である酸性スフィンゴミエリナーゼ欠乏症。遺伝子変異により細胞内代謝に障害が生じ、臓器の機能障害などを引き起こすが、同製品が酸性スフィンゴミエリナーゼと同じ作用を持つ酵素を補充し、症状を改善する。
▽アデュカヌマブ(バイオジェン・ジャパン):予定される効能・効果は、アルツハイマー病の進行抑制。脳内に溜まるとアルツハイマー病を進行させるアミロイドβの蓄積を減少させ、疾患の進行を抑制する。
▽DS-5141b(第一三共):予定される効能・効果は、急速に筋力が低下するデュシェンヌ型筋ジストロフィー。患者の筋細胞内でジストロフィン蛋白質が産生されないことが原因で発症するが、同剤は、不完全ながらも機能が保持されたジストロフィン蛋白質を筋細胞内で生み出すことで症状を改善する。
▽SPM-011(ステラファーマ):2月に先駆け審査指定制度で指定された「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)システム」に使用するホウ素製剤。BNCTでは、腫瘍細胞に取り込ませたホウ素に微弱な中性子を当てることで、核反応分裂によって腫瘍細胞を選択的に破壊する。
▽ニボルマブ(遺伝子組み換え)(小野薬品):予定される効能・効果は、胆道癌。同疾患に対する一定の有効性が示されたことから、指定の対象となった。