成人の関節リウマチ患者が対象の国内・国際共同臨床試験の結果から
ヤンセンファーマ株式会社は4月20日、中等度から重度の活動性関節リウマチ患者の治療を目的として開発中のヒト型抗インターロイキン(IL)-6モノクローナル抗体製剤(一般名:シルクマブ(遺伝子組換え))の皮下投与における有効性及び安全性を評価する2つの主要な第3相臨床試験(SIRROUND-D試験とSIRROUND-T試験)の日本人患者における結果を日本リウマチ学会(JCR)総会にて公表したと発表した。
シルクマブは、ヒト型抗IL-6免疫グロブリンG1kモノクローナル抗体であり、関節リウマチを含むIL-6が関与する炎症・免疫疾患の発症メカニズムに作用しその炎症症状を抑制する。現在、リウマチ患者は、日本では約70万、世界中で2350万を超える人々がこの疾患に罹患していると推定されている。関節リウマチの症状は、30~50代で最も多く発症し、女性の発症頻度は男性に比べて約3倍多いことが知られている。
SIRROUND試験は、成人の関節リウマチ患者を対象に行った国内・国際共同臨床試験。D試験は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)に対して効果不十分であった患者、T試験は、抗TNF製剤に対して効果不十分または忍容性がない患者、H試験は、メトトレキサートに対して効果不十分もしくは忍容性がない患者、M試験は、メトトレキサートもしくはスルファサラジンに対して効果不十分であった日本人の患者、LTE試験は、SIRROUND-D試験とSIRROUND-T試験を完了した患者対象の長期試験という、5つで構成されている。
シルクマブ50mgを4週に1回皮下投与で十分な曝露量
SIRROUND-D試験は、プラセボ投与群およびシルクマブ投与群(4週間毎に50mg皮下投与、2週間毎に100mg皮下投与)に割付け有効性および安全性を検証。同試験に登録された日本人患者(168人)についてサブグループ解析を実施した結果、主要評価項目である16週時点のACR20%改善を達成した患者の割合は、プラセボ群の21.4%に対し、シルクマブ投与群では50mgで69.0%および100mgで66.7%といずれも有意な改善がみられた(p<0.001)。もうひとつの主要評価項目である52週時のvdH-Sスコアのベースラインからの平均変化量はプラセボ群の4.73に対し、シルクマブ投与群では50mgで1.16および100mgで0.54といずれも有意な抑制がみられたという(それぞれp=0.024、p=0.002)。
SIRROUND-T試験は、SIRROUND-D試験と同様に有効性および安全性を検証。同試験に登録された日本人患者(116人)についてサブグループ解析を実施した結果、主要評価項目である16週時点のACR20%改善を達成した患者の割合は、プラセボ群の18.9%に対して、シルクマブ投与群では50mgで57.1%、100mgで54.5%といずれも有意な改善がみられた(それぞれp<0.001、p=0.001)。その改善は投与後8週より早期に認められ、52週まで維持。なお、SIURROUND-T試験に登録された全患者の約40%は、腫瘍壊死因子(TNF)以外を標的とする生物学的製剤による治療経験を有していたという。
これら国際共同臨床試験を含む第3相臨床試験の結果を用いて、シルクマブの日本人患者における安全性および薬物動態/曝露応答性の検討を実施したところ、日本人患者におけるシルクマブの薬物動態と外国人患者における薬物動態に違いは認められず、曝露応答性の結果から、日本人患者ではシルクマブ50mgを4週に1回皮下投与することにより、関節リウマチ治療にとって十分な曝露量が得られることが示唆された。また、安全性併合解析の結果から、シルクマブは日本人患者に対して安全で忍容性があり、日本人特有の安全性シグナルは検出されていないとしている。
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・ヤンセンファーマ株式会社 プレスリリース