半数が白金製剤ベースの化学療法による一次治療が不適格
スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュ社は4月18日、免疫チェックポイント阻害剤「TECENTRIQ」(一般名:atezolizumab)が、米国食品医薬品局(FDA)より白金製剤ベースの化学療法が不適格の局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対する迅速承認を得たことを発表した。
同剤の適応症は、第2相臨床試験であるIMvigor 210試験の成績(奏効率および奏効期間)に基づき迅速承認された。この適応症の承認継続には、検証試験での臨床的有用性の証明が必要となる。
また、同剤は米国において、既に白金製剤ベースの化学療法歴のある局所進行または転移性尿路上皮がん患者への投与で承認を取得している。しかし、進行がん患者の半数で白金製剤ベースの化学療法による一次治療が不適格となることから、今回の承認は、一次治療が不適格の患者に対する初めてかつ唯一承認されたがん免疫療法として期待が寄せられる。
日本国内では切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんで承認申請
Atezolizumabは、日本国内において、非小細胞肺がんを対象とした第2相および第3相国際共同治験、ならびに非小細胞肺がんの術後補助療法、小細胞肺がん、尿路上皮がん、筋層浸潤尿路上皮がんの術後補助療法、乳がん、腎細胞がんおよび腎細胞がんの術後補助療法を対象とした第3相国際共同治験が実施中。また、肝がんおよび固形がんを対象とした第1相臨床試験を行われており、2017年2月には、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対し、製造販売承認申請を行っている。
なお、米国における適応症は、「白金製剤ベースの化学療法が不適格の局所進行または転移性尿路上皮がん」「白金製剤ベースの化学療法施行中または施行後に病勢進行を認めた局所進行または転移性尿路上皮がん」「白金製剤ベースの化学療法による術前(ネオアジュバント)または術後補助化学療法(アジュバント)を行い12か月以内に病勢進行を認めた局所進行または転移性尿路上皮がん」「白金製剤ベースの化学療法施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺がん、EGFR遺伝子変異陽性またはALK融合遺伝子陽性肺がんに対してFDAが承認した分子標的療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺がん」。小児に投与した際の有効性と安全性は確立されていない。
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