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災害時に活用可能なOTC医薬品リストを日本医薬品情報学会が取りまとめ

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2017年04月19日 PM04:00

OTC医薬品を軽症の体調不良を訴える被災者に活用

東日本大震災から6年が経過したが、このほど災害時に活用可能な要指導・一般医薬品()56品目の医薬品集を日本医薬品情報学会の課題研究班(代表:鹿村恵明・東京理科大学薬学部教授)が取りまとめた。同医薬品集は災害時に被災地で活動する薬剤師への情報提供を念頭に作成したが、今後、各地域の薬剤師会や自治体、製薬企業、医薬品卸などへの周知と連携により、災害向け備蓄などへの活用も念頭に置いている。医薬品集の作成経緯や概要などは、同学会が発行する学会誌「医薬品情報学」(Vol.18 No.4)に掲載された。

大規模災害時には救援物資として自治体や避難所等に供給されることが多いOTC医薬品だが、医療用医薬品を中心とする日常診療業務が多い医療従事者の中では必ずしも認知度が高くなく、現場での分類作業のマンパワー不足も相まって有効活用がされていないケースが少なくないと指摘されている。研究班ではこうした状況下でOTC医薬品を軽症の体調不良を訴える被災者に活用することで、現場で任務にあたる医療班などの負担軽減も図れるとの認識の下、災害時に有効活用できるOTC医薬品の選定とその医薬品集作成を初めて試みた。

今回選定したOTC医薬品は、日本薬剤師会作成の「薬剤師のための災害対策マニュアル」を中心に、同じく同会作成の「薬局・薬剤師のための災害対策マニュアル―災害時の救援活動と平時の防災対策に関する指針―」、JMAT(日本医師会災害医療チーム)携行医薬品リストVer1.0、JAL(日本航空)の航空機内搭載医療品・医薬品を参照し、研究班内で検討した。

災害現場で活動する薬剤師が状況に応じて判断

選定の基本方針は、対象をあくまで被災地で活動する医療班による介入まで必要のない軽症者、医療用医薬品の代替ができることとし、さらに個別OTC医薬品の選定で同一成分に複数の銘柄がある場合は、以下の3点のいずれかに回答するものを優先的に選定した。

  • (1)飲料水不足時に水なしで服用できる
  • (2)限られたOTC医薬品を活用するため、本来の目的以外の利用ができる(浣腸用のグリセリンの保湿剤への転用など)
  • (3)販売量が多い

最終的に選定された56品目は、日本医薬品情報センターが発行する一般用医薬品集の大分類で「精神神経用薬」11品目、「消化器官用薬」10品目、「呼吸器用薬」7品目、「滋養強壮薬」1品目、「アレルギー用薬」2品目、「外皮用薬」12品目、「眼科用薬」6品目、「歯科口腔用薬」1品目、「漢方・生薬製剤」3品目、「公衆衛生用薬」3品目。

これらOTC医薬品の医薬品集には、「大分類」、「薬効分類」、「商品名」、「剤形」、「選定のポイント」、「用法・用量」、「災害時の利用法」、「成分」、「対応する医療用医薬品(類似薬を含む)」、「効能・効果」、「使ってはいけない人・使用上の注意」、「相互作用」を記載。さらに妊婦・授乳婦に対する注意喚起が必要なものにはその情報も付記した。なお、医療用医薬品と同一成分のOTC医薬品の一部では、用法用量などの記載が医療用医薬品とは異なる場合があるが、この場合は双方の用法・用量を併記し、現場で活動する薬剤師が状況に応じて判断する形にした。

個々の医薬品に関する情報提供カードも作成

一方、実際の災害時には現場に薬剤師がいない場合、あるいはOTC医薬品の知識が潤沢ではない病院薬剤師が対応することも想定されることから、研究班では医薬品集とは別に個々の医薬品に関する情報提供カードも作成した。カードでは医薬品集の情報以外に商品の外箱、剤形の写真も追加。さらに「妊婦OK」などの注意を促すために視覚記号の1つであるピクトグラフ16種類を作成して対抗する個々の医薬品情報提供カードに掲載した。今後、研究班では都道府県薬剤師会や地域行政機関、企業などにこの医薬品集の周知を進め、実際に運用につなげたい考え。

なお、研究班では選定されたOTC医薬品の備蓄・供給に関して本格的な検討は行っていないが、想定される課題として都道府県薬剤師会では、商品買取の必要性に伴う財政的な負担、各薬局では医薬品集に含まれるOTC医薬品を通常販売しながら備蓄することで期限切れを防げる一方、OTC医薬品に対する現場薬剤師の意識向上が求められるなどを例示している。

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