■都が命令‐大興薬品は8日
東京都は12日、今年1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通に関与した千代田区の卸売販売業者であるエール薬品と大興薬品の2社に対し、医薬品医療機器等法に基づく業務停止命令を出した。譲渡人の記録に架空の会社名を記載したエール薬品は13日から24日まで12日間、卸売販売業の許可を得ていなかった業者に転売した大興薬品は13日から20日まで8日間の業務停止となる。
業務停止の行政処分対象となったのは、エール薬品と大興薬品の2社。都は3月13日、エール薬品、大興薬品、高洋薬品、フジ薬品、野川薬品の5社に医薬品販売に関する管理体制を抜本的に見直すことなどを指示する業務改善命令を出していたが、エール薬品はハーボニー偽造品を個人から仕入れ、薬機法に規定された譲渡人に関する記録を正確に行わず、架空の会社名を記載したほか、偽造品を販売し、卸売販売業者として営業所での適正な医薬品管理を行っていなかった。また大興薬品は、エール薬品から偽造品を仕入れ、卸売販売業の許可を得ていない大阪府の業者に販売した。
都は、これら行為を重く見て、薬機法に基づく厳しい処分が必要と判断。エール薬品に対して13日から24日まで12日間、大興薬品には13日から20日までの8日間の業務停止命令を出した。12日間と8日間の業務停止期間に関しては「薬機法の運用について定めた都の処分内規に則って判断した」(福祉保健局健康安全部薬務課)としているが、処分基準は非公開となっている。
2社の処分期間の違いについては、「エール薬品は法的に見て個人から偽造品を仕入れた点、架空の会社名を記載する意図的な記録の改ざんを行った点で悪質性が高い」(同課)と判断し、エール薬品に対しては4日間長い業務停止処分を下した。
また、2社と同様に業務改善命令を受けた高洋薬品、フジ薬品、野川薬品の3社については、「少なくとも偽造品が箱に入っていないことを怪しむべきだったが、適正な卸売販売業者から仕入れて、販売していた」として、業務停止命令の対象としなかった。