今回公表された追加分析結果によると、接種から発症までの期間を女子の接種者に限定した場合、1カ月超が68.9%に対して、1年超が36.9%と、接種から発症までの期間が長い例は少なかった。また、症状の持続期間については、男子・接種歴のない女子に比べて、接種後に発症した女子では持続期間が長い場合が多いとしたが、これはそれぞれの年齢分布が違うことが原因であることから、「男女別・接種歴別に見た症状の持続期間に違いがあるとは言えない」と結論づけた。
症状の数が10以上ある患者の傷病名の分布については、接種歴なしでは起立性調節障害の5人が最も多く、接種後に発症した人では自己免疫脳症の18人が最多だった。接種歴不明の人では、起立性調節障害が5人で最も多かった。さらに、有訴率に影響し得る要因を考慮して分析したところ、接種後発症とされた患者について、直近接種から発症までの期間を短くするに従って有訴率は減少し、接種歴なしの人より低くなる場合があった。有する症状の数を少なくとも1から10以上に増やした場合、有訴率は減少するものの、接種歴なしの人でも多様な症状の有訴率は10万人当たり5.3人存在することが考えられた。
これら追加分析結果を踏まえ、研究班はHPVワクチンの接種歴がなくても疼痛や神経障害などの症状を示す人が一定数存在したとし、全国疫学調査と結論は変わらなかった。合同部会では、委員から症状数が10以上ある患者について、「症状数が多ければ重症なのかなど専門家に症状の具体的なヒアリングを行うべき」との意見が出たことから、合同部会として継続調査を行うことを決めた。
昨年12月に行われた合同部会で公表されたHPVワクチンに関する全国疫学調査の結果では、接種後に発生した疼痛や運動障害などの症状と同様の多様な症状を示す青少年は12~18歳の女子全体では10万人に40人、12~18歳の男子では10万人に20人と推計されたが、委員からは年齢分布を考慮した解析などを求める意見が相次いだことから、研究班で追加分析を進めていた。