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【厚労省】リフィル処方導入など提言-働き方ビジョン検が報告書

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2017年04月10日 AM11:00


■薬剤師の専門性発揮へ期待

厚生労働省の「新たな医療のあり方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」は6日、報告書をまとめ、塩崎恭久厚生労働相に手渡した。医師の過重労働が課題になる中、「医療従事者間の業務分担と協働を最適化する」観点から、薬剤師に対して「これまで以上に専門性や能力を発揮することが期待される」と強調。薬剤師によるリフィル処方への対応を「可能とするよう検討すべき」と提言した。また、処方箋40枚につき薬剤師1人の配置基準の見直しや、「箱出し調剤」への移行、「かかりつけ薬剤師指導料」の要件見直しなども盛り込んだ。

報告書を受け取る塩崎厚労相(右)

報告書では、医療従事者の生産性と付加価値を向上させる上で、「薬剤師の専門性や知見は極めて重要」とし、「これまで以上にその能力を発揮することが期待される」と強調した。

今後は、人材不足に対応し得る効率的で生産性の高い業務にシフトしていくため、薬学6年制教育で培われた専門的知見を生かし、調剤主体の業務構造からの変革を提言。「専門職として処方内容を分析し、薬物療法のプロトコルを策定する機能を強化すべき」とした。

一定期間内であれば繰り返し利用可能となる「」の導入について言及。あらかじめ医師から指示されている場合に、「医師との連携のもと、薬剤師等によるリフィル処方への対応を可能とするよう検討すべき」と明記した。

調剤業務については、「機械化、オートメーション化できる部分については、効率化を進める」と共に、「処方箋40枚につき薬剤師1人の配置等、処方箋の枚数に応じた薬剤師の配置基準は、実態および今後の効率化の可能性を踏まえて見直すべき」と踏み込んだ。

配置基準の見直しと併せて、「欧米では既に主流となっている『箱出し調剤』の有用性を検証し、移行していくべき」と提言した。

また、2016年度調剤報酬改定で新設された「かかりつけ薬剤師指導料」の要件見直しも求めた。薬剤師の多様な働き方を確保する観点から、同加算の施設基準である「当該保険薬局に週32時間以上勤務」などを念頭に、「実質的に常勤の薬剤師に限定されることのないよう、要件の見直しを図っていくことが求められる」とした。

病院の薬剤師に対しては、「病棟での持参薬管理や服薬管理にとどまらず、医師に対して、治療効果や副作用モニタリングのための検査の実施を含めた薬物療法の提案を行うこと」も求めた。

また、「プライマリ・ケア機能の一環として、住民への予防・健康リテラシーや医療コスト意識の涵養を図るべき」と主張。「一定の所得がある者に対して限度額まで薬剤処方を医療保険の対象から外し、スイッチOTC医薬品の普及を促進することなども、こうした機能強化の後押しになる」とした。

報告書では、提言内容が「関係審議会などで検討が行われ、実現の見通しが明らかにされるべき」とした。今後、厚労省内に「ビジョン実行推進本部(仮称)」を設置し、「5~10年程度の政策工程表」を作成し、それを「内閣としての政府方針」に位置づけ、同本部で進捗管理を行うよう求めた。

厚労省医薬・生活衛生局は、提言内容によっては、厚生科学審議会の新たな部会として設置した「医薬品医療機器制度部会」で「議論を行うことはあり得る」とした。

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