鹿児島大学の伊東教授が開発したCCAP法
鹿児島大学と日本メジフィジックス株式会社(NMP)は4月6日、同大大学院理工学研究科生命化学専攻の伊東祐二教授が開発した部位特異的抗体標識技術について、特許の実施に関わる契約を締結したことを発表した。
伊東教授は、抗体医薬品として広く利用されているIgG抗体に親和性を示すペプチドを用いて、抗体のFc領域の特異的部位(Fc-Lys248)にペプチドを修飾する技術(Chemical Conjugation by Affinity Peptide:CCAP法)を開発。NMPは、CCAP法に関する特許について、放射性核種(RI)の修飾の範囲で独占的に、蛍光物質の修飾の範囲で非独占的に実施権を獲得している。
高品質な修飾抗体医薬品を容易に製造する技術として期待
CCAP法は、抗体の抗原認識に影響しないFc領域を選択的に修飾するため、抗原認識能を損ねることなくさまざまな分子を抗体に結合させることが可能。抗体に抗がん剤などの薬剤を修飾し、抗体の高機能化を目指す試みは、医薬品開発において広く行われているが、既存の修飾手法では、標識部位を厳密に制御することが困難であることが多く、修飾部位が抗原認識部位であった場合、抗体の活性が損なわれる可能性がある。
CCAP法ではペプチドと抗体を定量的に結合させ、均質な修飾抗体を製造することが可能であるため、高品質な修飾抗体医薬品を容易に製造する技術として期待できるという。NMPは、CCAP法でRIや蛍光化合物を抗体に標識し、抗体医薬を開発する製薬企業の創薬に貢献することや、診断薬・治療薬の開発に応用することを目指すとしている。
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・日本メジフィジックス株式会社 プレスリリース