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高血糖時にはFGF21により選択的に摂食が抑制されることを発見-自治医大

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2017年04月06日 PM01:45

21の摂食調節作用について調査

自治医科大学は4月4日、内分泌ホルモン様の繊維芽細胞増殖因子(FGFs)のひとつであるFGF21の標的が室傍核のNesfatin-1ニューロンであり、その活性化が摂食抑制に繋がること明らかにしたと発表した。この研究は、同大学医学部生理学講座統合生理学部門の矢田俊彦教授、坑加齢医学研究部の椎崎和弘講師、黒尾誠教授らの研究グループによるもの。同研究成果は、英国学術雑誌「Scientific Reports」に同日付けで掲載されている。


画像はリリースより

FGFの中には、本来の細胞増殖因子としての役割以外に内分泌ホルモン様の作用をする一群があり、FGF21はそのひとつ。FGF21は、膵β細胞および脂肪細胞を標的とした抗肥満・抗糖尿病作用があり、臨床応用が試みられている。FGF21については、血液脳関門を通過し脳内へ移行すること、FGF21受容体であるβ-klothoが視床下部視交叉上核および摂食中枢である室傍核にも発現していることが報告されていたが、FGF21の摂食調節作用はこれまで明らかになっていなかった。

FGF21が室傍核Nesfatin-1ニューロンを活性化し、摂食を抑制

研究グループは今回、マウスを用いてFGF21の摂食調節作用を調査。まず、FGF21をマウスの側脳室内に投与したところ、3時間後から24時間後までの摂餌量が有意に低下した。そこで、FGF21標的神経核を調べるために、FGF21を脳室内投与後に神経活性化マーカーのc-Fosの発現を調べると、室傍核で増加。室傍核の神経ペプチドにおけるmRNA発現を調べると、Nesfatin-1のmRNA発現が増加していた。さらに、室傍核特異的Nesfatin-1ノックアウトマウスでは、FGF21の摂食抑制作用が消失していたという。このことから、FGF21は室傍核Nesfatin-1ニューロンを活性化し、摂食を抑制することが明らかになった。

さらに、FGF21はマウスから単離した室傍核Nesfatin-1ニューロンに直接作用し、高グルコース濃度存在下でのみ、神経活動が増加した。同様に、FGF21はマウスの高血糖時に摂食抑制作用を発揮したが、血糖が低下している絶食時には作用がなかった。以上の結果から、FGF21は血糖上昇時に食欲を抑え過血糖を抑制すると考えられるという。

これまでに、空腹時にはFGF21の分泌が増加することで、脂肪組織では脂肪分解作用によって、肝臓では脂質代謝を亢進してケトン体産生を促すことで、低血糖に対し生体防御的なホルモン様機能を示すことが知られていたが、今回の研究から、血糖上昇時にはFGF21は食欲を抑え過血糖を抑制することが示唆された。従来の糖尿病薬では、治療過程で重度の低血糖を発症する恐れがあったが、FGF21を糖尿病治療へと臨床応用することで、こうした懸念がいらない画期的な治療法につながる可能性があると、研究グループは述べている。

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