エポプロステノール静注用「ACT」、小児患者向けに承認
アクテリオン ファーマシューティカルズ ジャパン株式会社は3月2日、小児肺動脈性肺高血圧症患者の治療薬として、同社のエポプロステノール静注用0.5mg/1.5mg「ACT」が、厚生労働省より用法・用量の追加承認を取得したと発表した。
同剤は静注用のプロスタサイクリンである「Veletri(R)」(一般名:エポプロステノール静注用)として2010年、米国で承認。スイスおよびカナダでは2012年に「Caripul(R)」として、日本および一部の欧州の国々では2013年より発売を開始し、現在世界17か国で販売中。その他の国々での承認取得も進んでいる。
重篤な症状を持つ小児PAH患者の、新たな治療選択肢に
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、心臓と肺のそれぞれの動脈が異常に高い血圧にさらされることにより発症する。PAHの症状は非特異的で、日常生活における軽度の息切れや疲労感から、右心不全症状、活動の厳しい制限、最終的には平均余命の短縮など様々だ。PAHは肺高血圧症(PH)に分類されるグループのひとつに属し、このグループには特発性PAH、遺伝性PAHおよび結合組織病、HIV感染症および先天性心疾患などにより引き起こされるPAHがある。過去10年間でPAHの生理学的な理解が進み、治療法ガイドラインと新しい治療法の進展が平行して行われており、PAHの発症機序からPAH治療ターゲットはエンドセリン受容体拮抗薬(ERAs)、プロスタサイクリンおよびPDE-5阻害薬の3つとなる。
PAHの治療目標は、10年前までは運動耐容能を改善することだったが、最近では病気の進行を遅らせることに変化。様々な盲検下での比較臨床試験データからPAHに対する認知度が向上し、これらの試験成績をもとにガイドラインが改訂され、その結果、早期の治療介入、目的の明確な治療さらに併用治療の必要性が注目されている。
同剤は、小児に対する適応承認を日本で初めて取得したエポプロステノール製剤。小児患者に対する適応が追加されたことで、特に重篤な症状を持つ小児肺動脈性肺高血圧症患者に対して、静脈内投与という治療の選択肢を提案することが可能となるとしている。