ADHD治療薬としては初の選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬
塩野義製薬株式会社およびシャイアー・ジャパン株式会社は3月30日、注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ(R)錠 1mg・3mg」(一般名:グアンファシン塩酸塩)について、厚生労働省より「小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」の適応で、製造販売承認を取得したことを発表した。
ADHDは、不注意・多動性・衝動性の3症状を主な特徴とする神経発達症群(発達障害)のひとつで、心理社会的治療・支援と薬物療法により治療可能な脳機能の障害。DSM-5では、子どものADHDの有病率は5%で、成人は2.5%と記載されている。
インチュニブは、ADHD治療薬として初めての作用機序である選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬であり、1日1回投与の非中枢刺激薬。ADHD患者の前頭前皮質では、後シナプスのα2A受容体の活性化レベルが低く、シグナル伝達が減弱している可能性があり、ADHDに対するグアンファシンの作用機序はまだ明確ではないが、後シナプスのα2Aアドレナリン受容体を選択的に刺激することで、減弱しているシグナル伝達を増強させることが、非臨床研究から示唆されているという。
1日1回の投与で、多動性・衝動性、不注意のいずれの症状も有意に改善
インチュニブの国内第3相臨床試験結果によると、インチュニブ群はプラセボ群と比較し、1日1回の投与で、ADHD中核症状である多動性・衝動性、不注意のいずれの症状も有意な改善を示した。また、安全性については承認時における安全性評価対象症例254例中、副作用(臨床検査値異常変動を含む)は190例(74.8%)に確認。主なものは、傾眠146例(57.5%)、血圧低下39例(15.4%)、頭痛31例(12.2%)だったという。
同剤は、シャイアーから2017年2月現在、米国・欧州諸国など世界33か国で発売。国内では、2011年11月18日に塩野義製薬とアイルランドのShire plcとの間で締結された日本国内における共同開発・商業化に関するライセンス契約に基づき、開発が進められてきた。同剤の作用機序はこれまで国内でADHD治療薬として販売されている薬剤の作用機序とは異なるため、ADHD患者の新たな治療の選択肢となることが期待される。
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・塩野義製薬株式会社 ニュースリリース