■厚労省「需給に応えられる」
厚生労働省は28日、第102回薬剤師国家試験の結果を発表した(表参照)。受験者数1万3243人のうち、合格者は9479人で、合格率は71.58%だった。合格率は前回から5.27ポイント下がり、合格者数は過去15年で最も多かった前回の1万1488人より2009人減少したが、厚生労働省は、合格率が60%台前半にまで落ち込んだ第99、100回のような「波乱はなかった」との認識を示した上で、合格者数についても、ここ数年の推移を踏まえると、「需給に応えられる数字ではないか」とした。
6年制新卒者の合格者は7052人で合格率は85.06%、6年制既卒者は2295人で50.83%だった。新卒者については、前回の86.24%から1.18ポイントの減だったのに対し、既卒者は前回の67.92%から17.07ポイントの大幅減となり、全体の合格率低下に影響した。
合格率を男女別に見ると、男性が67.89%で、女性が74.14%だった。
大学の設置主体別の合格者数は、国立が540人(合格率84.38%)で、うち6年制新卒が438人(93.39%)、6年制既卒が36人(58.06%)、その他(旧4年制卒、受験資格認定者)が66人(60.55%)だった。
公立は236人(83.69%)で、うち6年制新卒201人(92.63%)、6年制既卒15人(51.72%)、その他が20人(55.56%)。私立は8703人(70.64%)で、6年制新卒6413人(84.33%)、6年制既卒2244人(50.72%)、その他46人(15.81%)だった。
大学別に合格率を見ると、90%を超えたのは7校、50%を下回ったのは8校だった。合格率がもっとも高かったのは昨年に引き続き、いわき明星大学の96.72%で、次いで金沢大学95.24%、広島大学93.33%、近畿大学92.59%、九州大学92.50%と続いた。
また、一般問題(薬学実践問題)の問288、問310、問317について、「設問が不明確」「設問・選択肢が不適切」などの理由で、採点対象から除外する措置をとった。
■新卒の受験率、私大は87%
今回の国試は、1万4701人の出願者数に対し、受験者数は1万3243人で、出願者数に占める受験者数の割合は90%。6年制新卒者については、出願者数が9417人、受験者数は8291人で88%だった。
新卒の受験率を設置主体別で比較すると、国立大学では477人の出願者数に対し、受験者数は469人で98.3%、公立大学は同様に220人、217人の98.6%だった。私立大学では、8720人の出願者数に対し、受験したのは7605人の87.2%だった。
1115人もの学生が受験を取りやめており、合格率が下がることを懸念した大学側が出願しても合格が見込めない学生を受験させない“合格率操作”を行った可能性も示唆される。