CDK4およびCDK6を特異的に阻害する細胞周期阻害剤
米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは3月20日、 内分泌療法後に再発または増悪したホルモン受容体陽性(HR+)ヒト上皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)の進行乳がん患者を対象としたアベマシクリブの第3相試験MONARCH2で、無増悪生存期間(PFS)の主要評価項目が達成されたことを発表した。
アベマシクリブは、サイクリン依存性キナーゼCDK4およびCDK6を特異的に阻害することでがん細胞の増殖を制御する経口細胞周期阻害剤。無細胞酵素アッセイでは、サイクリンD1およびCDK4に対して最も高い活性を示した。乳がんでは、サイクリンD1/CDK4が網膜芽細胞腫タンパク質(Rb)のリン酸化、細胞増殖、腫瘍増殖を促進することが示されている。ホルモン受容体陽性乳がん細胞株では、アベマシクリブによる持続的な標的阻害により、Rbのリン酸化が減少し、細胞周期停止が誘導されたという。
今回結果が発表された国際第3相二重盲検試験では、局所再発または転移性の進行乳がん患者を対象として、フルベストラントと併用したアベマシクリブの有効性と安全性を評価。669例の患者から成るintent-to-treat集団を、承認された用法・用量のフルベストラントと連続投与スケジュールのアベマシクリブ群またはプラセボ群に無作為に振り分け、1日2回経口投与し、がんの増悪がみられるまで処方した。同試験には、ネオアジュバント/アジュバントの内分泌治療後12か月以内または転移性乳がんに対する初回内分泌治療中にがんの増悪を示した患者を登録。転移性乳がんに対して化学療法を受けた患者は除外したという。
HR+、HER2-、進行乳がんにおいてPFSを有意に改善
同試験の結果、アベマシクリブ+フルベストラントの併用療法は、プラセボ+フルベストラントの対照群と比較してPFSが統計学的に有意に改善された。一般的な有害事象は、下痢、好中球減少症、悪心、疲労であり、これまでに実施したアベマシクリブの試験と同様の結果だったという。なお、有効性と安全性に関する詳細な結果は、今後の医学学会で発表される予定という。
同社は、米国で2017年の第2四半期に、MONARCH1試験に基づき、内分泌療法および転移性乳がんにおいて、ひとつまたはふたつの化学療法レジメンの治療後に増悪した治療抵抗性転移性乳がん患者へのアベマシクリブ単剤に関する新薬申請(NDA)を提出する予定。また、同年の第3四半期に、米国でMONARCH2に関する追加申請を行うことを予定している。
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