咽頭浮腫による気道の閉塞から呼吸困難、命に関わる場合も
CSLベーリング株式会社は3月24日、同社が販売する遺伝性血管性浮腫(HAE)治療製剤「ベリナート(R) P静注用500」(一般名:乾燥濃縮人C1インアクチベーター製剤)に対し、侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制の適応が承認されたと発表した。
画像はリリースより
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、遺伝子の変異が原因で血液中のC1インヒビターの減少もしくは機能異常を起こす疾患。国の指定難病「原発性免疫不全症候群」の疾患のひとつに認定されている。補体C1インヒビターがうまく機能しないことにより、身体の様々な部分に浮腫を生じる。その症状は、痒みを伴わない、あらゆる部位の皮下浮腫、粘膜下浮腫、および腹痛・吐き気・嘔吐・下痢などの消化器症状で、浮腫の発作は精神的ストレス、外傷や抜歯、過労などの肉体的ストレス、妊娠、生理、薬物などで誘発されることが知られている。喉頭浮腫では、気道が塞がれることによる呼吸困難から、窒息する恐れもあるという。
患者数は1万~15万人に1人とされ、5万人に1人とする報告が多い。エストロゲンが影響するといわれ、女性の有症率は男性の2.2倍という報告もある。発症は10~20歳代に多く見られるが、あらゆる年齢で発症する。
外科的治療や歯科治療を受ける際の急性発作リスクを低減
ベリナートは、国内唯一のC1インアクチベーター製剤。これまで、HAE患者に対する外科的処置や歯科処置など侵襲を伴う治療が誘因となり、舌や喉頭に浮腫を起こして死に至った症例が国内外で報告されていたことから、日本口腔外科学会、日本皮膚科学会は、同剤に対する処置前における短期予防について「適応外薬の要望」を提出。この要望は、「医療上の必要性の高い未承認・適応外薬検討会議」で公知申請が妥当と判断され、2016年11月24日の「薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会」で了承されていた。
今回、HAEの急性発作時の治療に加え、身体への侵襲を伴う処置前の予防的な投与に対しても適応追加されたことにより、患者が外科的治療や歯科治療を受ける際、急性発作のリスクを大きく低減することが期待される。
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・CSLベーリング株式会社 プレスリリース