1月に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品流通に関与し、東京都から薬機法に基づく改善命令が出された都内の現金問屋とされる卸売販売業者のエール薬品の男性が、23日に都内で記者会見に応じ、今回の問題について、「大変悪いことをしてしまい、申し訳ない。4~5年前までOTC医薬品の仕事をしていて、医家向けのことはよく分からずにハーボニーを購入してしまった。偽物の薬を買って反省している」と謝罪した。同社が購入した個人客の人数については10人程度とし、「ホームページで購入先の秘密厳守をうたっており、名前や身元を聞いておらず、向こうから名乗ることもなかった」と述べ、2年ほど前から帳簿には仕入れ先を偽名で記入し、処理していたことが分かった。
エール薬品の男性によると、昨年6月から月に1~2本のペースで個人からハーボニーのボトル瓶を購入。これまでの購入本数は正規品を含め全部で20本程度という。20本中13本を売り、7本は都に回収されている。購入価格については、同社の納入先である高洋薬品、大興薬品、フジ薬品の社員と相談し、薬価の0.7掛けで買い、0.8掛けで納入先に売り、1割程度の利益を得ていた。1月16日に都から連絡を受けた際に、自分が偽造品を購入したことに気がついたという。現在同社では、2月に東京都に卸売販売業の休止届を提出している。
男性がハーボニーを買った個人については、「同じ人物が2回来ることは少なく、毎回違う人間が来た。中高年の男性が多かったと記憶している」と述べた。前日に電話を受けて、その翌日に店に来てもらい納入していた。
販売時には薬剤師は関わらず、男性が買い取っていた。購入先の個人名、電話番号などの身元を確認せずに買い取った理由については、「ホームページ作成業者からアドバイスを受けてホームページ上で購入先の秘密を厳守することをうたっていたということもあり、聞いてはいけないと思った。ハーボニー以外の薬剤でも購入先の名前は聞いておらず、高額薬剤だからという理由ではない」と弁明。さらに、「C型肝炎治療薬というのは特殊な薬なので、調剤薬局や病院の関係者だと思い、特別にあやしいとは感じなかった」と語った。
患者に偽造品が渡ってしまったことについて男性は、「こんなに大きい問題になると思わなかった。仕入れ先を確認していなくて、反省している」と語った。