■薬学会総会 会員減など課題解決へ意欲
日本薬学会は24日、仙台市内で代議員総会を開き、2017~18年度の新会頭に奥直人氏(静岡県立大学大学院薬学研究院長)が就任した。任期2年の副会頭には、佐々木茂貴氏(九州大学大学院薬学研究院生物有機合成化学分野教授)、高倉喜信氏(京都大学大学院薬学研究科病態情報薬学分野教授)の2人を選出。任期1年の副会頭には、来年3月の第138年会組織委員長を務める向智里氏(金沢大学理事・副学長)が選ばれた。
総会であいさつした新会頭の奥氏は、「薬学会は非常に歴史のある日本でも有数の学会で、こうした伝統的な学会を引き継ぐことに責任を感じている。逆に大きい学会だけに、会員のご支援をいただき、これまでの会頭が取り組まれてきたことを踏襲しながら変えていくことは変えて、良い部分は伸ばしていくような形で責務を全うしていきたい」と抱負を語った。
その上で、「薬学会は会員の減少や国際化など様々な課題を抱えているが、できる限り全力で当たっていきたい。これらの解決への取り組みは会員の皆さんの協力があってこそできる。今後とも薬学会に支援、協力をお願いしたい」と会員に協力を要請した。
総会では16年度決算が承認されたほか、17年度の事業計画、予算が報告された。主な事業としては、▽学術研究・教育活動の推進▽学会情報の発信▽他機関との交流協力とグローバル化の推進▽学会基盤の整備・確立――に取り組む。17年度の経常収益は、約9億9803万円、経常費用は約10億3312万円。
学会誌の発行については、学術3誌について、質の高い研究成果の投稿を促進しながら、各誌の特性、スコープを最大限に生かし、学術論文発表の場の提供、学会賞受賞記念総説の掲載など、誌面の充実を目指す。
部会・支部活動の支援にも力を入れる。各領域の部会については、薬学研究の高度化と若手研究者、薬学生など次世代を担う優れた人材育成を共通の主要課題と位置づけ、シンポジウムやフォーラム、顕彰活動などによって特色ある活動を進めると共に、部会活動の円滑化を図るために部会長会議を開催し、連絡調整や情報交換を行っていく。
会員との接点の場である支部活動は、地域薬剤師会との交流や講習会、卒後研修会、高校へのガイダンスなど、地域に密着した事業展開を行い、特に6年制薬学生の支部活動への参加を積極的に奨励し、顕彰するなど、学生会員の確保につながるよう努めていく。
会誌「ファルマシア」の発行についても、新規会員の増加につながるよう創薬に関わる若手研究者、ベンチャー企業、大学院生などが興味を持つ読み物をさらに充実させ、魅力ある雑誌を目指す。
また総会では、ノーベル生理学・医学賞受賞者の大隅良典氏、元会頭の内海英雄氏、元副会頭の富岡清氏、本多利雄氏などを名誉会員として承認した。総会後には、薬学会賞、学術貢献賞、学術振興賞、奨励賞など各賞の授与式が行われた。