24週時点でウステキヌマブより有意に高い奏効率
米イーライリリー・アンド・カンパニーは3月4日、「トルツ(R)」(一般名:イキセキズマブ)を投与した中等症から重症の尋常性乾癬患者群がウステキヌマブを投与した患者群と比較して、24週時点で優れた有効性を示したと発表した。この試験結果の詳細は、3月3日から7日に米国フロリダ州オーランドで開催された米国皮膚科学会(AAD)の年次総会で発表された。
トルツは、サイトカインであるインターロイキン17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止するIgG4モノクローナル抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、通常の炎症および免疫反応に関与するが、同剤は炎症性サイトカインおよびケモカインの活性を抑制する。
活動性関節症性乾癬に対する第3相試験結果も年内に発表予定
今回結果が発表されたIXORA-S試験では、ウステキヌマブ45mgまたは90mgを投与する群と、トルツを160mg投与で開始し2週ごとに80mg投与を12週間、その後、4週ごとに80mg投与する群のいずれかに無作為に割り付けた。評価項目は、PASI75、PASI100の達成、およびsPGA0または1の達成とベースラインから少なくとも2ポイントの改善とした。PASIは、病変部の皮膚の紅斑、浸潤、落屑の平均値の評価と全身に占める皮疹面積の割合により、乾癬の範囲および重症度を判定する指標。sPGAは、医師による特定時点における患者の乾癬病変の重症度の総合評価で、FDAが有効性の評価に使用している必須の指標だ。
その結果、主要評価項目であるPASI90を達成した患者群の割合は、ウステキヌマブを投与した患者群で59%であったのに対し、トルツを投与した患者群では83%だった。トルツ投与群は24週時点でウステキヌマブ投与群と比較して有意に高い奏効率が得られた。なお、トルツの安全性プロファイルは以前の臨床試験と一致していたという。
同社によると、活動性関節症性乾癬の治療における同剤を評価する第3相試験の結果は、今年中に発表される予定。また、同剤については体軸性脊椎関節炎の治療に関する第3相試験も実施中という。
▼関連リンク
・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース