日本臨床腫瘍薬学会学術大会が18、19の両日、新潟市内で開かれ、人員不足に悩む中小病院で癌治療に関わる薬剤師の取り組みが報告された。回復期・慢性期医療を担う200床未満の中小病院は、全国の病院数の約7割を占めるにもかかわらず、1施設当たり薬剤師数が少ないため、他の業務を行いながら癌化学療法を実践しているのが現状。医師や看護師など他の医療職も人員不足で、専門医や専門薬剤師不在の施設がほとんどなだけに、多職種連携で患者を支えることの重要性が強調され、相互に補完し合うことで質の高い癌治療を提供することは可能との声が相次いだ。
昭和病院(福岡市)薬剤課の川崎美紀氏は、福岡県東部の京築医療圏で中核機能を担う中小病院の取り組みを紹介。化学療法室を備えながら、専門・認定薬剤師は在籍しておらず、抗癌剤治療を行う患者や緩和ケアを必要とする患者など、様々な対応が求められる中、「中小病院では癌治療を医師、看護師、薬剤師のチーム医療で支えるしかない」と強調した。