■管理者の変更も指示
奈良県と奈良市は16日、今年1月に県内の薬局でC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が患者に調剤された事件を受け、薬局チェーンの関西メディコ(奈良県生駒郡平群町)に対し、薬機法に基づく業務停止命令を出した。偽造品を仕入れたサン薬局平群店、未包装の偽造品を譲受して確認を怠った上、患者に調剤したサン薬局平松店は、きょうから26日まで5日間の業務停止となる。さらに県と市は、管理薬剤師が責任を果たしていなかったとして管理者の変更も命じた。県によると、薬局が業務停止命令を受けるのは初めてのケースという。
行政処分の対象となったのは、サン薬局平群店で偽造品を仕入れて、箱や添付文書がないことを確認しなかったこと、平松店で偽造品に疑問を持たないまま譲り受け、調剤して患者に交付した行為。
平群店では、医薬品の仕入れ段階における検査が不十分だったため、昨年11月から12月にかけて偽造品を仕入れ、平群店、平松店、三室店に分けて在庫として保管させた。開設者は、箱や添付文書がない偽造品に疑問を持たないまま、管理薬剤師に必要な検査を行わせず、管理薬剤師も必要な業務を行う責任を十分に果たしていなかった。
県は、これら行為を「明らかに正規品と違う偽造品を何もチェックせず、患者に渡したというのはあまりに恥ずかしい内容」(薬務課)と重く見て、今後偽造薬が流通したときに対応できるよう薬局の体質を改めさせるためには、薬機法に基づく厳しい処分が必要と判断した。
処分として関西メディコに対し、きょうから26日までの5日間、平群店の業務停止命令を下すと共に、管理者の変更を命じた。5日間の停止期間に関しては、「薬機法の運用について定めた県の処分基準に基づいて判断した」としているが、処分基準は非公開。
県で薬局に対する業務停止命令が出されたのは初めてのケース。管理者の変更命令については過去に前例があるという。
また平松店では、ハーボニー偽造品を調剤し、患者に交付したことに加え、平群店から未包装で添付文書がない医薬品が分譲されているにもかかわらず、疑問を抱かずに薬局の業務に必要な注意を怠ったほか、管理薬剤師は患者への調剤日を把握していなかった。
市は、これら行為が薬機法違反に当たると判断。関西メディコに対し、きょうから26日までの5日間、平松店の業務停止命令を出すと共に、管理者の変更を命じた。
業務停止命令を受け、関西メディコは「患者をはじめ、全ての関係者に心配と迷惑をかけたことを心よりお詫びする。今回の処分を真摯に受け止め、再発防止に全力で取り組み、医薬品の品質、有効性、安全性の確保を担う薬局としての責務を果たしていく」とのコメントを発表した。