BRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの維持療法でPFSを延長
英アストラゼネカは3月14日、生殖細胞系列のBRCA(gBRCA)遺伝子変異陽性プラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者を対象にオラパリブ錠(300mg、1日2回投与)の維持療法をプラセボとの比較で評価した、国際共同第3相臨床試験(SOLO-2試験)において、無増悪生存期間(PFS)の大幅な延長が示されたとの結果を発表した。
オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導する、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤。同剤は、EUおよび米国の規制当局によりBRCA遺伝子変異陽性卵巣がんの治療薬として承認されている。過去の試験により、同剤カプセルはプラセボとの比較でプラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者およびBRCA遺伝子変異を有する腫瘍を持つ患者のサブグループにおいて、PFSを大幅に延長することが示されている。
なお、開発中の錠剤が承認されれば、300mg1日2回投与の用法により、カプセル剤の承認国では患者の服薬負担が1日16カプセルから4錠へと低減されるという。
過去の試験と概ね一貫した安全性プロファイル
今回の試験の結果、同剤投与群は主要評価項目であるPFSの有意な延長を示した(ハザード比0.30、95%信頼区間 0.22-0.41、p<0.0001、中央値19.1か月 vs. 5.5か月)。また、オラパリブによる治療を受けた患者はプラセボ群と比較して、副次的評価項目である二次進行または死亡までの生存期間(PFS2)においても統計学的に有意なベネフィットが認められ、他の主要な副次的評価項目においても改善が見られたという。
さらに、同試験中オラパリブ錠による治療を受けた患者の安全性プロフィルは、現在欧米で承認されているカプセル剤から得られた結果と一貫していた。グレード3以上の有害事象は、オラパリブ投与群の36.9%と、プラセボ投与群の18.2%において報告されている。
これらの結果は、米国のナショナルハーバーにおいて開催された婦人科腫瘍学会の女性のがんに関する年次集会において発表され、この対象疾患における過去のデータを補強するとともに、再発卵巣がんの維持療法として、同剤のベネフィットを証明したものとなる。同社は、1日も早く患者がオラパリブ錠による治療を開始できるよう規制当局と連携していくとしている。なお、同剤は日本では未承認。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース