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がん細胞のミトコンドリア活性度測定により放射線治療の早期効果判定-浜松ホトニクス

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2017年03月15日 PM01:15

治療開始早期に、生体を傷つけず判定できる新たな手法

浜松ホトニクス株式会社は3月10日、ミトコンドリアの活性化に比例して取り込みが増加するPET薬剤()を用いたPET検査が、がんの放射線治療効果の早期判定に有用であることを動物実験で確認したと発表した。この研究は、同社と東海大学医学部川口章教授らとの共同研究によるもの。


画像はリリースより

がん治療の選択肢のひとつである放射線治療では、治療の効果判定がその後の治療方針の決定に大きく影響するため、治療開始早期での効果判定が重要だ。放射線治療後にがん組織の一部を生検により針で採取し、顕微鏡でアポトーシス頻度を測定して効果判定を行うこともあるが、この方法では生体を傷つけるうえ、がん組織のごく一部のサンプルで判定するため誤差が生じる可能性があり、早期の効果判定には適していない。また、CTやMRIによってがん組織の大きさに注目する場合、画像で縮小が確認できるまで判定できず、18F-FDGを用いたPET検査では、照射線量に比例した炎症による18F-FDGの取り込みがおさまって、治療効果を正確に判定できるまでの期間が必要となるため、早期判定とはいえない。そのため、がんの放射線治療の効果を早期にしかも生体を傷つけずに判定できる、新たな判定手法の確立が望まれている。

がん放射線治療における早期効果判定手法確立へ前進

研究グループは、放射線照射ががん細胞のミトコンドリアを活性化することでアポトーシスを誘導し、がん細胞の増殖を抑制する点に着目。ミトコンドリアの活性化に比例して取り込みが増加するPET薬剤である18F-BCPP-EFを用いたPET検査が、放射線治療の早期効果判定に有用であるかを確認するため、マウスによる動物実験を行った。実験では、がん組織にさまざまな線量の放射線を照射した後、18F-BCPP-EFを用いて、PETで経時的にミトコンドリアの活性度を測定。また、並行してがん組織の大きさの測定を行い、ミトコンドリアの活性度とがん細胞の増殖抑制との関連性を検討したという。

その結果、照射線量に比例したミトコンドリアの活性度の増加が、がん細胞の増殖抑制を反映していることを確認した。また、18F-BCPP-EFの取り込みが、がん組織の大きさに変化がない照射後2日目の早期から増加していることを確認したという。この結果は、がん組織の大きさの変化として放射線治療の効果が現れる前の段階から、がんの治療効果が測定できることを示したものだ。

今回の研究成果により、現在がんの種類ごとに決められている標準的な照射量では効きすぎる場合の副作用を軽減できる一方で、十分な治療効果がない場合には他の治療法へ変更するなど、治療開始の早い段階でその後の治療方針を検討できるようになるという。同社は今後、実験を重ねてより詳細なデータを集め、臨床研究に向けた準備を進めていく予定。また、抗がん剤治療、免疫療法、重粒子線治療などの他の治療法への応用や、さまざまな種類のがん細胞への有効性を検討し、早期効果判定手法として確立していきたいとしている。

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