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ヒトiPS細胞を用いた動物性集合胚研究に関する意識調査結果を発表-京大

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2017年03月15日 PM01:30

回答者の過半数が、現在日本で認められている研究を認めていることが明らかに

京都大学は3月13日、ヒトiPS細胞を用いた動物性集合胚研究をめぐる一般市民と研究者の意識調査を実施し、回答者の過半数が、現在日本で認められている以上の研究を認めるということが明らかになったと発表した。この研究は、同大学iPS細胞研究所()上廣倫理研究部門の澤井努研究員、八田太一研究員、藤田みさお准教授の研究グループによるもの。研究成果は、英科学誌「Regenerative Medicine」で公開された。


画像はリリースより

動物性集合胚研究とは、遺伝子操作によって特定の臓器ができないようにした動物の胚に、ヒトiPS細胞など多能性幹細胞を注入して行う一連の研究。この研究により、将来的に動物の体内で人の臓器を作製し、移植に利用したり創薬や病態解明に利用したりすることが期待されている。

現在日本では、「特定胚の取扱いに関する指針」において、移植用臓器の作製を目的に、動物の胚にヒト細胞を注入し、動物性集合胚を作製することが認められている。しかしながら同指針では、動物性集合胚の作成目的を移植用臓器の作製に関する基礎研究に限っており、その胚をある一定期間を越えて発生させたり、動物の子宮に戻したりすることは認められていない。

2013年には生命倫理専門調査会が同指針を見直すことを決定。以降、特定胚等研究専門委員会が動物性集合胚の研究について、科学的観点からの検討をもとに倫理的・社会的観点から議論が行われている。近い将来、規制緩和の方向で関連指針が改正される可能性もあると考えられるが、議論を進めていく上で、当該研究に対する民意の把握は十分に行われていなかった。

研究の情報発信には手順だけではなく、研究目的を具体的に説明することも重要

研究グループは2016年に、一般市民とCiRAの研究者を対象として当該研究に関する質問紙調査を実施。一般市民520人、CiRAで働く研究者や研究支援者105人から回答を得た。この調査では動物性集合胚研究を、「動物の胚へのヒトiPS細胞の注入」「人の臓器を持つ動物の作製」「臓器を必要とする人への移植」の3段階に分け、さらに各段階の研究目的を示した上で、 どの段階までであれば受け入れられるのかを、イラストを用いるなど研究全体を理解しやすいよう工夫したうえで質問した。

その結果、動物性集合胚の作製に関しては、一般市民の80%以上と研究者の90%以上が認められると回答。人の臓器を持つ動物個体の作製に関しても、一般市民の60%以上と研究者の80%以上が認められると回答した。これらの結果は、動物性集合胚の作製に関する調査を行った国内の先行調査と比べても高い許容度を示すもの。その要因として、研究段階ごとの研究目的を具体的に示したことが考えられるという。

研究グループは、今回の調査結果が直ちに動物性集合胚研究を推進すべきだという主張につながるわけではないとして、今後、当該研究が社会に広く受容されていくためには、一般市民および研究者の懸念を特定し、それを取り除くことが求められると指摘した。さらに、研究の情報発信のあり方として、研究の手順だけではなく研究目的を具体的に説明することも重要だと述べている。

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