小委員会は、アビガンの使用を判断するタイミングについて、原則として病原性、感染力の強い新型インフルエンザが発生し、ノイラミニダーゼ阻害剤4剤全てに耐性が見られる場合とし、国が速やかに使用の可否を判断する必要があると指摘。ノイラミニダーゼ阻害剤4剤全てに耐性化が見られるようなウイルス株が出現する可能性が否定できないことから、作用機序が異なるアビガンの必要性があるとし、「あらかじめ備蓄しておくことが必要」と結論づけた。
アビガンの備蓄に当たっては、製造に数カ月かかるため、製剤で備蓄しておく必要があるとし、耐性化ウイルスの出現に備え、あらかじめ一定量を備蓄しておくよう求めた。また、パンデミック時に流通が滞って混乱を生じることがないよう、1カ所に集中せずに分散して国が備蓄すべきとした。
投与対象者は、免疫抑制状態にある患者などのハイリスクグループで、重症および重症になることが予想される成人患者に限定すると共に、催奇形性の恐れから妊婦は禁忌とすべきとした。ただ、禁忌に含まれる小児については、新たな知見が確認された場合、アビガンの投与も検討すべきとしている。アビガンを投与できる医療機関としては、国や都道府県が指定する専門医や施設を備えた感染症指定医療機関に限定した。
さらに、催奇形性などの安全性に懸念があることから、新型インフルエンザ発生時の具体的な投与方法や投与対象者を示した診療ガイドラインを策定するよう提言した。
ただ、アビガンの安全性と有効性に関する臨床的な知見が限られていることを踏まえ、新型インフルエンザ発生初期に安全性や有効性に関する臨床試験の実施体制を整備し、新たに得られた知見をもとにガイドラインを見直すべきとした。
アビガンをめぐっては、2月の作業班会議で、既存のノイラミニダーゼ阻害剤4剤全てに耐性化したウイルスが出現する可能性がゼロでないことから、「備蓄すべき」との結論をまとめていた。
これを踏まえ、引き続き小委員会において、アビガンを使用するタイミングや基準、投与対象者、投与する医療機関などに焦点を絞って議論していた。