PFS中央値16.6か月、化学療法群8.1か月に比べ延長
スイスのノバルティスは2月23日、「ジカディア(R)」(一般名:セリチニブ)の適応拡大に関する医薬品承認事項変更申請(sNDA)が、米国食品医薬品局(FDA)によって受理されたこと、またFDA認可の検査によって未分化リンパ腫キナーゼ陽性(ALK+)と診断された転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一次治療薬として、優先審査品目に指定されたこと、並びに脳転移のあるALK+転移性NSCLC患者に対するブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定されたことを発表した。
世界全体における肺がんによる死亡者数は、大腸がん、乳がん、前立腺がんによる死亡者数の合計よりも多く、毎年推定180万人が新たに肺がんと診断されている。最も一般的なタイプの肺がんであるNSCLC患者の3~7%はALK陽性だ。
ジカディアは経口のALK阻害剤。ALKは、NSCLCなどのがんにおいて、他の遺伝子と融合して特定の腫瘍の増殖を促進する異常な融合タンパク質を産生することがある。同剤は現在、世界64か国以上で承認されており、日本ではクリゾチニブに抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞癌を効能または効果として、2016年3月に承認、同年5月に発売された。
脳転移がある未治療ALK陽性転移性NSCLC患者を対象にブレークスルーセラピー指定
同剤の一次治療としての使用についてのsNDA申請は、これまでに進行性NSCLCに対する全身治療を受けたことのないステージIIIBまたはIVのALK+NSCLC成人患者を対象に、維持療法を含めたプラチナベースの化学療法と比較して、同剤の安全性および有効性を評価した、第3相無作為化非盲検多施設共同グローバル臨床試験ASCEND-4の主要解析結果に基づいて行われた。
同試験は世界28か国134か所の臨床試験施設で実施され、376人の患者が同剤投与群と化学療法群に無作為に割り付けられた。その結果、同剤の投与を受けた患者の無増悪生存期間(PFS)中央値が16.6か月であったのに対し、プラチナ化学療法を受けた患者では8.1か月であった。
なお、日本も同試験に参加しており、この結果に基づいて2016年11月29日に、ALK+NSCLCに対する一次治療薬として同剤の製造販売承認一部事項変更申請を行っている。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース