奈良県と奈良市は7日、今年1月に県下の薬局でC型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が患者に調剤された事件を受け、薬局を運営する関西メディコ(奈良県生駒郡平群町)に対し、薬機法に基づく改善措置命令を言い渡した。
県と市による行政処分の対象者となったのは、関西メディコの安井将美代表取締役で、対象施設はサン薬局平群店(生駒郡)、同三室店(生駒郡)、同平松店(奈良市)の3店舗。
県の改善措置命令では、平群店と三室店の開設者に対し、医薬品の管理を適切に行うと共に、薬局業務に必要な注意を払い、開設者に必要な意見を述べるよう指示。平群店には、外装の異常や添付文書が添付されていないなど「疑わしいもの」については、薬局の開設者として、医薬品の試験、検査を薬局の管理者に行わせることなどを求めた。
市は、偽造品を患者に調剤した平松店に対し、薬局の管理者が医薬品の発注、仕入れ、保管などを適切に行い、開設者に対して必要な意見を述べるよう指示。手順書に基づいた業務の実施や、薬剤師から開設者への事故報告の体制整備なども求めた。
県と市は、今回の処分を踏まえ、実際に改善を行った内容について、14日までに報告書として提出するよう指示した。
なお、同社に対する改善措置命令以外の処分については「現在、検討中」としている。
偽造品は、非正規ルートの卸を通じて関西メディコが購入。3店舗で計5本の偽造品が見つかり、このうちの1本が平松店で患者に調剤され、患者が偽造品に気づいたことで発覚した。
偽造品は、本社のある平群店で保管後、平群店から三室店と平松店にそれぞれ分譲されていたが、通常ある外箱や添付文書がないボトルのままだったことも判明している。
県薬務課は、「薬局の開設者や、薬局管理者による適切な体制が取れていなかった」として、改善命令を出した。