2017年は5品目以上の承認・適応追加を目指す
ファイザー株式会社は2016年度(2015年12月~2016年11月末)の売上高が4737億円で前年同期比7.4%の減収となったことを発表した。同社の梅田一郎社長は「リリカの再算定などの薬価改定の影響、ジェネリックの浸透に伴う長期収載品の売上減少などの影響を受けながらも、トビエース、セララ、セレコックスら主力製品が伸長したほか、後発医薬品も伸長した」と語った。
梅田一郎 代表取締役社長
同社は2016年度には、新規有効成分として「イフェクサーSR」を、新剤形として「ビンダケル」「バイアグラODフィルム」の計3品目を新たに発売した。都内で開催された記者会見で、同社医薬開発部門長のマリエピエール・ガスティノー氏は「2016年度は国内の医薬開発組織の発足から20周年を迎えた区切りの年度。その年度に通算100品目の承認を達成することができた」と語った。2017年度については、適応追加としてROS1陽性の非小細胞肺がん治療薬のクリゾチニブ、乳がん治療薬のパルボシクリブが申請中のほか、約30品目がフェーズ2または3試験を実施中で、「5品目以上の承認・適応追加を目指す」(梅田社長)としている。
梅田社長「イノベーションの価値が適切に評価された新薬には相応に支出されるべき」
また記者会見では、業績内容や開発ハイライトなどと並んで、薬価改定問題について多くの時間を割き、国内の薬価引き下げ議論を強く牽制した。梅田社長は「将来も医薬品市場は横ばいと予想され、大幅な増加は考えられない。そうしたなか、画期的な新薬にペナルティを課すなどの最近の薬価改定は適切とはいえない。また、毎年の薬価改定は、日本での長期的投資が困難になるなど、多くの企業の事業活動に甚大な影響を及ぼす。企業や患者さんを巻き込んだ議論が展開されることを期待したい」と語り、医療費のコントロールにはビジョンが必要であることを強調した。
同日、アメリカのトランプ大統領がTwitterで薬価について言及したが、梅田社長は直接の評価は避けつつも「アメリカでは医薬品開発に多額の研究開発費が投資されており、多くの新薬が生まれている。そうした投資を背景に、イノベーティブな新薬が誕生し、薬価が決められていることについて、日本でも理解がひろがれば」と語った。
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