世界60以上の国・地域で承認されている第一選択薬
ノバルティス ファーマ株式会社は3月7日、マラリアの治療薬として「リアメット(R)配合錠」(一般名:アルテメテル/ルメファントリン)を発売したと発表した。
画像はリリースより
マラリアは、メスのハマダラカの刺咬によりマラリア原虫が体内に侵入することによって感染する原虫性の疾患。マラリア感染の予防や制御などの対策が進み、年々マラリア感染者数やマラリアによる死亡者数は減少しているものの、現在でもなお世界最大の感染症のひとつだ。アフリカ、アジア、オセアニア、中南米などの熱帯、亜熱帯地域を中心に約100の国または地域で流行し、年間2億人以上が新たに感染、43万8千人が死亡している。
リアメットは、アルテミシニン誘導体と作用機序の異なる他剤を組み合わせた併用療法(artemisinin-based combination therapy:ACT)の配合剤。WHOのマラリア治療ガイドラインでは、マラリアの治療薬としてACTが推奨されており、特に重症化しやすい「合併症のない急性熱帯熱マラリア」の治療には、ACTが第一選択薬に位置づけられている。同剤はACTの代表的な薬剤として、海外では米国や英国を含む60以上の国または地域で承認されている。
厚労省の開発要請を受け、2016年12月に製造販売承認を取得
これまで日本においては、熱帯病治療薬研究班がリアメットを輸入。同研究班に所属する医療機関で使用されてきた。しかし熱帯病治療薬研究班より「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬」として同剤の開発要望があり、厚生労働省は2014年8月に同社へ開発を要請。2016年12月19日付けで製造販売が承認された。
現在、日本で報告されているマラリア患者は、すべて外国に渡航した際の感染例だ。国内での患者数は2000年の154人をピークに漸減傾向で、最近では年間50~70人前後で推移している。
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・ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース