■正答率90%以上の問題が激減‐薬ゼミが自己採点調査
2月25、26日に実施された第102回薬剤師国家試験で、薬剤師国家試験予備校大手「医学アカデミー薬学ゼミナール」が全受験者を対象に実施した自己採点の結果、平均総合得点率は69.8%と第101回と同等であることが分かった。必須問題の得点率が前回よりも上昇した一方で、理論問題、実践問題は下がった。特に正答率90%を超える問題の比率が下がり、適切なバランスで出題がされていたようだ。不適切問題等の補正を考えなければ、総点で65%を超えている新卒者は80%を超える見通しだ。
第102回薬剤師国試の出願者は1万4700人で、受験者総数は約1万3000人ほどと見られている。薬ゼミの自己採点システムには6日現在で9430人の受験者が入力した。
薬ゼミでは、第102回試験の難易度について、第101回より高く、第100回より少し低い「やや難」とした。正答率70%以上の問題数は201題と、第101回に比べ11題も減っているほか、90%以上の正答率では前回の120題から80題と大幅に減少していた。
全体的な出題傾向を見ると、「考える力」「医療現場での実践力」「問題解決能力」が必要な問題が多く出題され、より臨床的な問題が目立った。2015年度入学者から使用され、第101回国試から適応となっている「改訂モデル・コアカリキュラム」の内容に基づき、「薬理」と「病態・薬物治療」の壁や、自科目と他科目の壁を超えた総合的な力を必要とする問題も多く見られた。一方、基礎的な事項や既出問題の内容を理解していれば、得点できる問題も多く出題された。
必須問題の平均得点率は85%と前回の82.5%から2.5ポイント上昇。全体的に「平易~やや平易」の問題が多く、解きやすかったと予想され、足切りとなる受験者は少なそうだ。
理論問題の平均得点率は前回の62%から59%と下降。難易度は「やや難」だった。病態・薬物治療と薬理の連問が出題され、改訂コアカリを意識したと思われる出題が見られた。グラフや計算問題、化学の医薬品構造式に関する問題、薬理を中心とした新規出題薬物の問題が例年通り多く出題され、考える力が試された。物理や生物、病態・薬物治療、法規・制度の難易度が高く、生物はSiRNA導入実験など理解力を必要とする問題が出題され、病態・薬物治療は情報・検定を含む症例の問題が多く出題された。
実践問題は平均得点率68.2%と、前回に比べ1.3ポイント低かった。実践問題の各領域と比較し、実務の範囲の方が解答を導きやすい問題となった。図やグラフ、表などを読み解く、考える力を必要とする問題が多く出題された。高カロリー輸液などの在宅医療や褥瘡などの介護に関する問題が多く、厚生労働省が推進する「在宅医療」や「かかりつけ薬剤師」などを意識した問題が並んだ。
科目別の正答率を見ると、「生物」と「法規・制度・倫理」が大幅に下がり、「実務」「病態・薬物治療」「化学」も低かった一方、「物理」は前回を上回った。物理・化学・生物の3科目の正答率は揃って50%台と最も低く、3科目合計では57.1%と前回から4.2ポイントも下回った。「病態・薬物治療」は難化し、今まで出題された疾患において出題の傾向が変わり、より詳細な内容を問う問題や、医薬品の副作用を問う問題が多く出題され、実践的な内容が増えた。