小児の肺炎、中耳炎に適応を有する小児用ニューキノロン系経口抗菌製剤
富士フイルムグループの富山化学工業株式会社は3月2日、ニューキノロン系経口抗菌製剤「オゼックス(R)細粒小児用15%」(一般名:トスフロキサシントシル酸塩水和物)について、適応菌種に「肺炎マイコプラズマ」を追加する承認を同日付けで取得したと発表した。
同剤は、富山化学が1990年より経口剤(錠剤)として販売している「オゼックス錠」を小児科領域の学会からの要望を受け小児用細粒剤として開発したもの。2009年に製造販売承認を取得し、小児の肺炎、中耳炎に適応を有する国内初の小児用ニューキノロン系経口抗菌製剤として、2010年より大正富山医薬品株式会社から情報提供活動および販売を行っている。今回の適応菌種追加により、マイコプラズマ肺炎の小児に対しても同剤の投与が可能となった。
近年増加しているマクロライド系抗菌薬への耐性菌に対応
肺炎マイコプラズマが原因菌のマイコプラズマ肺炎は、気管支や肺胞の外部の間質に炎症を引き起こす。小児や若年者の肺炎の原因としては比較的多く、患者の約80%は14歳以下だ。
現在、マイコプラズマ肺炎の治療には、マクロライド系抗菌薬が一般的に使用されているが、近年、マクロライド系抗菌薬への耐性菌が増加。そのため、日本小児感染症学会、日本感染症学会および日本小児科学会より、厚生労働大臣等に対して「小児の肺炎マイコプラズマ感染症におけるキノロン系抗菌薬の適応拡大に関する要望書」が提出されている。
また同剤は、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2011追補」において、マクロライド系抗菌薬への耐性を持った肺炎マイコプラズマ感染時の治療選択肢とされている。これらの状況を受けて、富山化学は適応菌種追加のための開発を進め、今回の承認取得に至ったとしている。
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