3つの分泌源すべてでアンドロゲンの産生を阻害する承認薬
ヤンセン・シラグ・インターナショナル社は2月17日、実臨床におけるアビラテロン酢酸エステルとプレドニゾン(AA+P)療法を施行された前立腺がん患者に関する新たなデータを発表した。同データは、アンドロゲン遮断療法(ADT)後の、無症候性および軽度の症候性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者を対象に評価を行ったもの。フロリダ州オーランドで開催された「2017年米国臨床腫瘍学会 泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO GU)」において、同社が発表した包括的リアルワールドエビデンス(RWE)ポートフォリオの一部となる。
アビラテロン酢酸エステルは2014年9月、mCRPC患者に対するプレドニゾンとの併用が日本で承認。前立腺がんにとって重要な精巣、副腎、腫瘍組織自体という3つのアンドロゲン分泌源すべてでアンドロゲンの産生を阻害する作用を持つ唯一の承認薬だ。同剤は現在90か国以上で承認されており、これまで世界中で269,500人以上の男性に処方されているという。
治療継続期間16.5か月、無増悪生存期間11.6か月を達成
今回発表されたデータは、画像上の無増悪生存期間(rPFS)16.5か月(95%CI:13.5-20.0)、治療継続期間11.6か月(95%CI:10.2-12.8)を達成。これまでに行われた大規模第3相臨床試験(COU-AA-302試験)では、治療継続期間中央値13.8か月(IQR:8.3-27.4)とrPFS中央値16.5か月(95%CI:13.8-16.8)を達成していた。今回発表された結果は、このCOU-AA-302試験の結果とほぼ同じものであったという。今回の対象には、肝臓や肺への内臓転移があり、仕事は行えないが自分の身の回りのことを行える、または部分的に行える能力があるEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータス2~3の患者が10%程度含まれているが、このような患者は、第3相臨床試験には含まれていなかった。
ASCO GUでは、前立腺がん登録から得られたもうひとつのRWEである、mCRPCを対象とした欧州初にして最大規模の研究結果も報告された。前立腺がん登録は2013年から開始され、欧州16か国、199か所の医療機関で3,000人以上のmCRPC患者が登録されている。
同社は、アジアでも前立腺がんのすべてのステージの患者を対象にした最大規模の観察研究を進行中。
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