薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は3日、富山化学の新型インフルエンザ薬「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)について、パンデミックの発生など緊急時に迅速な出荷を可能とするため、厚生労働大臣の要請がなくても製造することを了承した。アビガンについては、これまで製造、販売共に厚労相の要請なしには実施できなかったが、同社が季節性インフルエンザウイルス感染症を対象とした追加の臨床試験成績を提出したことを踏まえ、製造に関しては厚労相の要請なしに行っても差し支えないと判断した。厚労省は、同日付でアビガンの承認条件変更についての留意事項を都道府県担当者に通知した。
アビガンは、2014年に製造販売承認を取得した際、有効性を示す臨床試験成績が限られ、催奇形性を持つ可能性が指摘されたことから、季節性インフルエンザを対象とした追加の臨床試験を行うこと、厚労相の要請がない限りは製造、販売を行わないことを条件としていた。
今回、アビガンの製造販売業者である富山化学が試験成績を厚労省に提出したことを受け、新型インフルエンザのパンデミック時など、既存のインフルエンザ薬が無効か効果不十分な感染症がまん延する緊急時にもアビガンを迅速に流通することができるよう、製造に関しては厚労相の要請がなくても可能とした。
アビガンをめぐっては、厚生科学審議会小委員会の班会議で、新型インフルエンザ対策上、タミフルやリレンザなど既存のノイラミニダーゼ阻害薬全てに耐性化したウイルスの出現可能性に備え、備蓄が必要との考え方をまとめている。
これを踏まえ、さらに小委員会でアビガンの備蓄について、国が供給を判断するタイミングや基準、投与対象者などに論点を絞って議論が進められている。