厚生労働省は1日、2017年度のアルブミン等の血液製剤に用いる原料血漿の標準価格を引き上げる案を薬事・食品衛生審議会血液事業部会に示し、了承された。血液を供給する日本赤十字社の経営状況を考慮し、2年連続で引き上げる。17年度の原料血漿価格は、凝固因子製剤用が昨年度の価格より10円増の1リットル(L)当たり1万1110円、その他の分画製剤用も10円増の1万0170円とした。
原料血漿の価格は、血液の確保から供給までに必要な検査員や事務職員等の人件費、輸送費、貯留保管費等をもとに算出する。従来の原価計算方式に基づき算定した価格は、凝固因子製剤用が1L当たり1万3870円、その他の分画製剤用が1万2700円となった。輸血用血液製剤の供給が減少しているため、よりコストの高い血漿成分献血から多くの原料血漿を確保しなければならないことから価格が上昇したためと見られ、16年度の価格より2500円以上高くなることが判明した。
これを踏まえ、血漿分画製剤の供給のあり方に関する検討会の最終報告書で、「原料血漿価格についても適正な価格の調整を考えていくべき」と明記していたことなども考慮し、17年度の1L当たりの価格をそれぞれ1万1110円、1万0170円とした。日赤の収支が悪化しないよう考慮し、16年度の両品目の価格より10円上げ、2年連続で前年度の価格を上回ることとなった。
2年連続で原料血漿の価格が引き上げられたことについて、委員からは「日赤の高コスト体質が関係している」との指摘や、コスト削減に向けた明確な動きが見られないとして「スピードアップすべき」などと厳しい意見が出た。
これらの意見に対して日赤は、「一人から採取する血液の量を増やすことや、血液から分離した血漿をいかに多く取れるかなど、コスト削減に向けた工夫を実行したい」と応じ、価格を決める大きな要素となっている人件費については「抑制に向けて改善していきたい」とした。