レテルモビル予防投与で移植後24週間以内の全死亡率が低下
米国のMerck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.は2月26日、サイトメガロウイルス(CMV)抗体陽性の成人同種造血幹細胞移植(HSCT)患者における臨床的に意味のあるCMV感染の予防を目的として開発中の抗ウイルス薬レテルモビルの主要な第3相臨床試験の結果を発表した。同試験の結果は2月22~26日に米国・オーランドで行われた国際骨髄移植研究会議(CIBMTR)および米国骨髄移植学会(ASBMT)共催のBMT Tandem Meetingで初めて発表された。
同試験は、無作為化割付5日以内に血漿CMV DNAが検出されなかった18歳以上のCMV抗体陽性HSCT患者を対象に実施されたもの。患者をレテルモビル群またはプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付け、同剤480mgまたはプラセボを1日1回、HSCT後14週目まで経口錠剤または静脈注射で投与した。主要評価項目は、治験薬投与開始時にCMV DNAの検出されなかった患者における、HSCT後24週間以内に臨床的に意味のあるCMV感染が見られた患者の割合とした。
2017年中に米国、EUで承認申請を予定
その結果、治験薬投与開始時にCMV DNAの検出されなかった495名の対象患者のうち、HSCT後24週目までにCMV感染が見られた患者の割合は、プラセボ群(60.6%、103/170例)と比較してレテルモビル群(37.5%、122/325例)で有意に低く、有効性の主要評価項目を達成した[群間差:-23.5(95%信頼区間 -32.5, -14.6)、片側p値<0.0001]。また、患者の部分集団解析においても一貫して有効性が認められた。ベースライン時にCMV感染症のリスクが高い患者、低い患者のいずれにおいても、レテルモビル群ではプラセボ群と比較して、HSCT後24週以内にCMV感染が見られるまでの期間に関して有意な効果が認められた(ログランク検定、両集団とも両側p値<0.0001)。さらに、投与終了時点(HSCT後14週目)を評価した副次評価項目であるHSCT後14週目までに臨床的に意味のあるCMV感染が見られた患者の割合でも、レテルモビル群(19.1%、62/325例)での割合がプラセボ群(50.0%、85/170例)と比較して有意に低い結果が認められたという。
レテルモビルは、CMV感染および感染症の予防薬として開発中の1日1回投与の抗ウイルス薬。新しいクラスの非核酸系CMV阻害剤(3,4-ジヒドロキナゾリン)で、ウイルスターミナーゼ複合体に特異的に作用し、ウイルス複製を阻害するが、CMV以外のウイルスに対しては作用しない。同剤は、CMV感染リスクのある患者におけるCMV感染および感染症の予防において、欧州医薬品庁(EMA)、米国食品医薬品局(FDA)、日本の厚生労働省から希少疾病医薬品の指定を、また、FDAの迅速審査指定も受けている。今回の試験結果を受け、同社は米国および欧州連合(EU)で2017年に承認申請を行う予定としている。
▼関連リンク
・MSD株式会社 ニュースリリース