■日病薬が調査
薬剤師によるポリファーマシー対応を評価するため、昨春の診療報酬改定で新設された「薬剤総合評価調整加算」(退院時1回250点)の算定施設数が625(16.5%)だったことが日本病院薬剤師会の2016年度「病院薬剤部門の現状調査」で分かった。病床規模別に見ると、100~299床規模の病院が308施設で最も多く、中小病院で算定率が高い傾向にあった。また、地域連携への薬剤師の関わりを調査した結果では、薬局に入院患者の情報を提供していたのは1525施設(40.2%)で、このうち、薬局に検査等のデータを提供していたのは271施設(17.8%)だった。
調査は2016年6月、20床以上の8455施設を対象に実施し、3799施設(回答率44.9%)から回答を得た。このうち、会員が所属するのは3460施設(同53.1%)、非会員339施設(同17.5%)だった。
「薬剤総合評価調整加算」は、病院の薬剤師が処方内容を総合的に評価し、入院時に患者が服薬していた薬剤の種類を退院時に減少させる取り組みを評価するもの。具体的には、入院時に6種類以上使っていた薬を2種類以上削減できた場合などに、退院時に1回算定できる。
薬剤総合評価調整加算を算定している625施設を病床別に見ると、最も多かった100~299床の308施設に次いで、50~90床の117施設、300~499床の126施設と続いた。500床以上の病院は48施設だった。
調査結果を報告した眞野成康常務理事(東北大学病院)は、「100~300床規模の病院が高く、中小の病院ががんばっている」とした。
病棟業務実施加算については、加算1の算定が926施設、加算2は214施設だった。病床数が多いほど、算定施設の割合が増えていることから、眞野氏は、「単純に薬剤師の数が影響しているという印象」と語った。
地域連携への関わりも調査した。地域の薬局に入院患者の情報を提供していたのは1525施設(40.2%)だった。
情報提供の内容としては、副作用歴(860施設、56.4%)、アレルギー歴(843施設、55.3%)、患者の服用状況(746施設、48.9%)、中止薬剤(720施設、47.2%)などが多く、「検査値などのデータ」は271施設(17.8%)にとどまっていた。
外来患者の情報を地域の薬局に提供していたのは852施設(22.4%)だった。情報としては、入院患者と同様、調剤上の工夫(320施設、37.6%)、患者の服用状況(276施設、32.4%)、アレルギー歴(256施設、30.0%)などが多かったが、「検査値等のデータ」も193施設(22.7%)で、比較的多かった。
一方、薬局から患者情報のフィードバックがあるかどうかについても調査。「ある」と回答したのは899施設(23.7%)で、情報入手の媒体としては、お薬手帳(568施設、63.2%)や、薬局間情報提供書(294施設、32.7%)などを活用していた。