有効性の欠如を理由に、外部データモニタリング委員会から勧告
Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.(米国とカナダ以外ではMSD)は2月14日、開発中のアミロイド前駆体タンパク質βサイト切断酵素1(BACE1)低分子阻害剤verubecestatについて、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症(AD)患者を対象とした第2/3相試験であるEPOCH試験(017試験)の中止を発表した。
EPOCH試験は、標準治療中の軽度および中等度のAD患者を対象として、verubecestat 12mgおよび40mgを1日1回経口投与したときの有効性と安全性をプラセボと比較検討する第2/3相無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験。有効性の主要評価項目は、治療開始後78週時点のAlzheimer’s Disease Assessment Scale Cognitive Subscale(ADAS-Cog)スコアにおけるベースラインからの変化量と、Alzheimer’s Disease Cooperative Study–Activities of Daily Living(ADCS-ADL)スコアにおけるベースラインからの変化量としていた。
同試験の中止は、外部データモニタリング委員会(eDMC)の勧告によるもの。eDMCは、最近実施された安全性の中間解析において全体的なベネフィット/リスクを評価し、「有効な臨床効果が認められる可能性はない」と判断したという。
アルツハイマー病による軽度認知障害患者を対象としたAPECS試験は継続
verubecestatの有効性および安全性は、軽度および中等度のAD患者を対象としたEPOCH試験と、アルツハイマー病による軽度認知障害(MCI)を対象としたAPECS試験(019試験)の、2つの第3相試験で評価されている。
eDMCは、今回の試験で認められた安全性の情報は「EPOCH試験を中止する必要があるものではない」としていることから、APECS試験は変更せずに継続するよう勧告した。APECS試験の結果は2019年2月に得られる予定。なお、EPOCH試験の結果も今後解析し、学会で発表する予定だという。
同社は、EPOCH試験でベネフィットが認められなかったことは残念だが、APECS試験では引き続き、より発症初期の患者におけるverubecestatの効果を評価していきたいと述べている。
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・MSD株式会社 ニュースリリース