関節リウマチ治療薬としてEUで初めてのJAK阻害剤
米国のイーライリリーとインサイト・コーポレーションは2月13日、Olumiant(R)(一般名:バリシチニブ)4mgおよび2mgフィルムコート錠に関して、1剤以上の疾患修飾性抗リウマチ薬で効果不十分または忍容性が低い中等度から高度疾患活動性の成人関節リウマチを適応症として、欧州委員会より欧州における製造販売を承認したことを発表した。
バリシチニブは、1日1回経口投与の選択的JAK1およびJAK2阻害剤。現在、炎症性疾患、自己免疫疾患を対象とした臨床試験が行われている。JAK酵素としては、JAK1、JAK2、JAK3、TYK2の4種類が知られているが、JAK依存性サイトカインは多くの炎症性および自己免疫疾患の病因と関連していることから、JAK阻害剤が関節リウマチを含む広範囲の炎症状態を示す疾患の治療に有益である可能性が示唆されている。
バリシチニブの規制当局による製造販売承認は、今回が世界初となる。同剤は欧州連合で関節リウマチ治療薬として承認された初のJAK阻害剤であり、単剤、またはメトトレキサートと併用して使用可能。臨床試験では同剤は、メトトレキサートおよびメトトレキサート使用下でのアダリムマブなどの標準療法と比較して、関節リウマチの徴候および症状の有意な改善を示した。
アトピー性皮膚炎などを対象にした第2相臨床試験が進行中
2009年12月、リリーとインサイトは、炎症性および自己免疫性疾患の治療のために、バリシチニブや特定の後続化合物の開発・製品化について、世界規模の独占的なライセンスおよび共同研究に合意したことを発表。2016年第1四半期には米国、欧州連合、日本の規制当局に対して、関節リウマチを適応とした同剤の販売承認申請が行われた。今回の承認によりインサイトは、リリーより6500万ドルのマイルストーンペイメントを受けることとなり、2017年の第一四半期に全額が支払われる予定という。
バリシチニブに関しては現在、アトピー性皮膚炎および全身性エリテマトーデスを対象とした第2相臨床試験が進行中。同社は、関節症性乾癬を対象とした開発も検討中としている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース