リードが不要で、関連した合併症のリスク少なく
日本メドトロニック株式会社は2月16日、世界最小のペースメーカ、メドトロニックMicra(R)(マイクラ)経カテーテルペーシングシステム(TPS:Transcatheter Pacing System)に対する薬事承認を受けたことを発表した。
画像はリリースより
Micra TPSは、右心室に留置されるシングルチャンバ型ペースメーカ。小型ペーシング技術を利用し、本体を皮下に植え込むのではなく、カテーテルを用いて心臓内に送り込み、直接心室に留置できる。カプセル型で、小さなフックで心壁に取り付けられ、先端の電極を通じて電気刺激を送り、ペーシングを行う。
従来のペースメーカは、外科手術で皮下ポケットを設けて装置を植え込み、静脈を通して、リードを心臓内に留置する必要がある。Micra TPSは、このような皮下ポケットもリードも不要なため、それらに関連した合併症のリスクがない。また、外科手術による胸部の傷もなく、外からは装置のふくらみもないため、患者が外観上判別できず、装置を意識することなく生活できる。また、Micra TPSの電池の予測寿命は約12.5年で、追加留置の際は、電池が消耗した一方の製品を電源オフにすることで、電気的にデバイス同士が互いに干渉することなく、追加のデバイスの留置ができる。なお、1.5テスラおよび3テスラMRI全身撮像に条件付きで対応している。
患者の99.2%で植え込みが成功、安全性と有効性を確認
Micra TPSの臨床試験結果に関しては、2015年11月、国際共同治験から得られたデータが「New England Journal of Medicine」に発表され、米国心臓協会学術総会(American Heart Association Scientific Sessions)の最新の特別報告で公開された。この報告によると、Micra TPSの植込みは患者の99.2%で成功し、安全性と有効性の評価項目を満たした。
また、2016年8月、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology congress)では、これらのデータをさらに補強する長期臨床成績が示された。この治験は、744人の患者が登録され、単一群、19か国、56の医療機関において、12か月間の継続的なフォローアップを通じて、安全性と有効性が評価されたとしている。
なお、同製品は、国際臨床試験から得られた初期のデータに基づいて2015年4月に欧州での薬事承認を取得しており、米国では2016年4月に取得している。
▼関連リンク
・日本メドトロニック株式会社 プレスリリース