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医療ビッグデータで法整備-創薬等への利用促進狙う

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2017年02月20日 AM10:15


■今国会に関連法案提出へ

病院や診療所、薬局が保有する医療情報の二次利用の推進を目的とした法案が、今国会に提出される見通しだ。新たな法律で、高い情報セキュリティを有する組織を「」(仮称)に認定。医療機関は患者本人の同意を得なくても、匿名加工していない治療や検査などの医療情報を同機関に提供できるようにする。同機関は収集した情報を匿名加工し、医療ビッグデータとして製薬会社や研究機関、行政などに提供する。この法整備によって創薬や治療の研究開発を促進したい考えだ。

患者の権利や利益の保護に配慮しつつ、患者や医療機関が安心して医療情報を提供できる仕組みを設ける。法律の新設によって一連の行為は個人情報保護法の対象から外れ、柔軟な運用が可能になる。3月にこの関連法案が閣議決定された場合、国会での審議を経て5、6月頃に成立する見込みだ。大阪市内で開かれたメディカルジャパンで難波雅善氏(内閣官房健康・医療戦略室参事官補佐)が概要を説明した。

病院や診療所、薬局が保有する医療情報を集約した医療ビッグデータは、様々な目的で活用できる有用なデータベースになり得る。、医薬品製造販売後調査の高度化や効率化、費用対効果分析、人工知能による診療支援システムの構築、革新的な疫学研究などでの活用が期待されている。しかし、現行法だけでは患者の同意取得や、個人を特定できないようにする匿名加工作業がネックになって、医療情報の収集が十分に進まない可能性があった。

円滑に構築できるようにするため、高い情報セキュリティを確保し、十分な匿名加工技術を有するなどの一定の基準を満たし、医療情報の管理や利活用のための匿名化を安心、確実に行える民間の組織を「医療情報匿名加工・提供機関」として認定する仕組みを法律で新設する。

データ漏洩を防ぐために同機関には、教育・運用・管理体制の整備、警備員や監視カメラの配置、オープンネットワークから分離した基幹システムの構築、多層防御・安全策の導入などの要件を満たすことを求める。

同機関に対して医療機関は、患者本人が提供を拒否しない場合に、本人の同意を得なくても匿名加工していない医療情報を提供できるようにする。その代わりに同機関は、提供された医療情報の匿名加工を不備なく行う。その上で情報を集約し、医療ビッグデータとして製薬会社や研究機関、行政などに提供。様々な目的での利用を促進する。

国は2020年度から医療・介護分野の情報通信技術の活用を本格的に稼働させたい考え。それに向けて必要な体制整備を進めており、医療情報匿名加工・提供機関の実現もその一環だ。18年度以降の運用開始を見込んでいる。

このほか医療等IDは18年度から段階的運用を開始し、地域単位での構築が進んできた医療連携ネットワークは18年度以降全国規模に拡大する計画だ。レセプトデータを集約したナショナルデータベース(NDB)や介護保険総合データベースの整備や統合は20年度までに終えたい考え。人工知能を用いた診療支援技術は、18年度以降の開発や実装化を予定している。

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