「笑い」の測定方法と「笑い」の習慣が身体や心理的健康に与える効果の解明へ
近畿大学、吉本興業株式会社、オムロン株式会社、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)は2月15日、「笑い」の医学的検証を行い、「笑い」の測定方法と「笑い」の習慣が身体や心理的健康に与える効果を解明するため、共同で研究を行うことを発表した。同大学と吉本興業は、2016年12月15日に包括連携協定を締結しており、今回の研究はその提携事業の一環。同日、「なんばグランド花月」にて研究の第一ステージとして、健常者を対象に研究を開始。オムロン、NTT西日本が参画し、両社の高い技術力、ノウハウを駆使して「笑い」のストレスマネジメントプログラムの早期開発をめざすとしている。
画像はリリースより
「笑い」は、人間にとって日常的な動作にもかかわらず、その定義があいまいなため、世界的な研究が進んでいない。また、精神疾患の患者は年々増加しており、厚生労働省は2010年に精神疾患による経済損失は年間約2.7兆円に上ると発表している。「笑い」を中心としたエンタテインメント事業を展開する吉本興業、医学部を持つ近畿大学、顔認識などの画像センシングで高い実績を誇るオムロン、NTT西日本が協力して、「笑い」の力でこの社会問題を解決したいとしている。
顔の表情の変化データやバイタルデータを取得・測定
「笑い」の医学的検証を行うため、日常的な「笑い」の習慣がもたらす効果を、「『笑い』が身体や心理的健康に与える効果について明らかにする」「『笑い』の測定方法の開発」「『笑い』介入後の疾病発症率や生活習慣の変化といった『笑い』の有効性の調査」の点で研究する。
研究は、4段階に分けて行い、各段階約20人の男女を対象とし、2週間に1回の間隔で定期的に吉本興業が主催する「吉本新喜劇」や「漫才」を鑑賞する。鑑賞の前後で心理テストを行い、鑑賞中には、顔の表情の変化データやバイタルデータの取得を行う。顔の表情のデータ測定はオムロンのヒューマンビジョンコンポ(HVC-P2)で行い、顔の表情以外の心拍数などのバイタルデータ測定は、NTT西日本の技術協力を受けて行う。2021年1月の実用化をめざし、順次、精神疾患の患者に対する臨床研究などを行う予定。
実用化においては、近畿大学附属病院での「笑い」のストレスマネジメントプログラム導入、「笑い」を活用した企業でのストレスマネジメント研修、ICTを活用した遠隔でのお笑いによるストレスマネジメントの提供、といったアイディアを検討、協議していくとしている。
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